- 塚本 有紀
- フランス料理・製菓教室「アトリエ・イグレック」 主宰
- 大阪府
- 料理講師
対象:料理・クッキング
- 黄 惠子
- (料理講師)
サマートリュフtruffe d’ été(今回はイタリア産)を取り寄せてみました。しゃくしゃくした食感とその存在自体を愛でるもの(つまり香りはあんまりない・・)と思っていた夏のトリュフですが、思いのほかきちんと香りがありました。
7月の料理の授業では、帆立貝とじゃがいもという王道の組み合わせにしてみました。トリュフは刻んでぶどうの種油に浸けてトリュフオイルにし、ゆでたてのじゃがいもに混ぜ込みます。熱によってふわっと香りがたちのぼります。マリネにした冷たい帆立貝を花びらのように上にのせました。周りには旬の万願寺唐辛子をスープ仕立てにして流し、その鮮やかな色と苦みを楽しみました。密やかな幸福感が広がります。
季節が秋に、そして冬になるにつれてどんどんトリュフは高くなりますが、値段と香りのコストパフォーマンスを考えたら、夏トリュフも充分に「有り!」だと知りました。
以前生徒さんから「夏トリュフをそのまま土中に放っておいたら、秋トリュフ、そして冬トリュフになるのでしょうか?」という質問がありました。
はて?
そこで輸入の業者さんに聞いてみましたら、それぞれ学名が違うので別物とのこと。昔パリのマルシェで、あまりに安い中国産のトリュフ(2個で500円くらい)を見つけて買ってみたことがあります。土を噛んでいるようで、まったく香りなどありません。そんなことを懐かしく思い出していたら、「たとえばイタリア製の缶詰でも、中身は中国産なんてこともあるのですよ」とも教わりました。ただし缶詰などには学名の表示義務があるので、ラベルをよく見れば分かるとのこと。本当のトリュフはtuber-から始まりますが、中国産はaer-からなるアルファベット。お土産に買って帰ろうと思われたときは、どうぞご参考までに。
翌週、少し残った(残した?)トリュフをめいっぱいすりおろして、まかないパスタにしました。香りはさすがに飛びかけていましたが、充分に幸せな時間です。
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