従業員の移籍についても分割計画書に記載すべき移転対象となる権利・義務となっています。 つまり「雇用契約」も会社分割に伴い当然移転することになります。 2007. 6. 7付けvol.【17】【18】のコラムでもお話した通りA社の場合、もともとX店に在籍していた従業員については新店(新会社)移籍について個々の同意は必要ないことが
労働契約承継法 (民法625条の1項の修正法規)
にて規定されています。
事業譲渡であれば移籍に際し本人の「承諾」が必要ですが、実際対象となる従業員全員の「承諾」を得ることは大変なことです。 そういう意味からもほぼ自動的に移籍を認める同法の手当ては、特に中小零細企業においては実務上大幅な負担軽減となり、機動的な事業再編を後押ししていると言えます。
しかしだからと言って何もせずに自動的に移籍を許してくれるわけではありません。 この法律の趣旨は 雇用の確保 ですが、移籍が ''使用者の変更'' という大きな契約内容変更を伴う以上、手続き面での義務履行が重視されます。 具体的には
・会社分割について従業員全体の理解を得る(努力)義務
・移籍の対象となる従業員との 事前協議・説明義務
・移籍先の条件を含めた計画内容の 事前通知義務
を果たしかつ(同法に規定された)プロセスを経なければなりません。 これらのプロセスを欠くことで分割そのものの効力に影響する可能性もゼロではなく他の権利・義務の移転調整と同じく適切な対応が求められます。
(次コラムへ続く)
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