住宅断熱基礎講座/床断熱から基礎断熱へ - 住宅設計・構造設計 - 専門家プロファイル

野平 史彦
株式会社野平都市建築研究所 代表取締役
千葉県
建築家

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対象:住宅設計・構造

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閲覧数順 2017年06月27日更新

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住宅断熱基礎講座/床断熱から基礎断熱へ

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住宅断熱基礎講座 05.高気密・高断熱の課題
05-3:床断熱から基礎断熱へ
 
 日本の木造建築の基礎は、地面からの湿気を直接拾わないよう地面に固定された束石の上に柱を立てるやり方で床面を高くし、床下を吹きさらし状態で湿気をこもらないようにする「高床式」が古来からの習わしで、「床下は外部である」という考え方は今日でも踏襲されています。

 しかし、今日の住宅の殆どは割合簡便に施工でき強度のあるコンクリート製の布基礎で、そこに換気口を開けて床下の換気を行うようになっていますが、昔の吹きさらし状態の基礎に比べると湿気が籠もりやすく換気能力は極めて悪いことは確かです。

 基礎の強度を損なわずに換気能力を高める方法として、床下換気口を設けずに基礎と土台の間にパッキンを挟んでその隙間から換気を図る「基礎パッキン工法」も最近ではよく見られる方法ですが、いずれにしろ高床式の吹きさらし状態から見れば湿気が籠もりやすい状態であることには変わりありません。

 床下の土壌表面からはいつも地中の水分が蒸発しており、そのため床下空間の湿度は外気より高い場合が多く、おまけに湿気の多い夏場には外気よりも床下の温度が低くなるため相対湿度が上がり床下は高湿度状態となって基礎部分の木材の含水率が上がり、かびが発生し、木材の腐朽を早め、家を土台から蝕む状態を作り出してしまいます。

 そのため床下の地盤面には防湿シートを敷いて乾いた砂やコンクリートで押さえたり、何らかの防湿対策が取られています。しかし、床下換気口は夏場の湿気を床下に流入させますから気温の低い床下は高湿度状態であることに変わりなく、おまけに在来の軸組工法では床下の空間と外壁内の空間が繋がっており、ここに通気止めが施されていなければ、日射で暖められた外壁内の空気は上昇し、床下の空気を引き上げることになります。

 即ち、湿気を外壁中に引き込んで壁内の湿度を高め壁体内結露を助長している訳です。このように住宅の基礎は、強度のあるコンクリートで作りはじめるようになってから色々と厄介な問題を孕むことになったのです。

 高気密・高断熱住宅で行われる床下の断熱方法は、床を断熱して床下換気口を設ける「床断熱」と、基礎の外周部、あるいは内周部に断熱材を打ち込んで床下を内部に取り込む、即ち床下を部屋内とする「基礎断熱」に大別されます。この二通りの断熱方法の歴史を見ると、床断熱は北海道から始まった内断熱による高気密・高断熱の考え方にあり(北海道では夏場の湿度があまり高くなく、床下の湿気にあまり神経質になる必要がなかったという事情もりますが)、基礎断熱は本州以西の地域で発達したエアサイクル工法による外張りが基本で、その流れで基礎断熱が行われたのが始まりだったと言えます。

 しかし、床断熱は床下に潜って断熱材と受け材を施工せねばならず大変面倒な作業を要するもので、最近では内断熱、外張り断熱に関わらず北海道でも基礎断熱の採用が多くなってきています。基礎断熱は床断熱の煩雑さに比べれば格段に施工性が良く、断熱材を基礎の外周部に施工する場合にはラスモルタル等で仕上げが必要となりますが、断熱材を基礎の内側に施工すればそのまま仕上げをしなくても良いというメリットがあります。

 しかし、断熱材を外周部に打ち込んだ場合、熱容量の大きいコンクリート躯体を蓄熱体として利用できるという大きなメリットがあり、暖房計画に積極的に活用すれば非常に安定した室内の熱環境を実現できるので、基礎断熱を行う場合でも今後は「基礎も外断熱」というのが基本となってくるでしょう。

 ただ、この時注意しなければいけないのは、プラスチック系断熱材はシロアリの食害を受けやすいという問題があり、公庫の基礎断熱仕様では特別に認定を受けたもの以外、東京以西の太平洋岸地域ではこのシロアリ被害に対処するため「基礎は内断熱」ということになっています。

 シロアリはプラスチック系断熱材を好んで食べるというわけではなく、陽に当たることを嫌うので地中からプラスチック系断熱材の中にトンネルを造って土台などの木材部分に侵入するのです。

 従って、外壁をプラスチック系の外断熱とした場合でも、基礎廻りに耐水性があり害虫に強い断熱材の選定を考慮すれば良いわけで、基礎の外断熱を可能にする材料として考えられるものとしては発泡ガラスや発泡炭化カルシウムなどの発泡無機質系の断熱材があり、値段は結構高いのですが、基礎廻りの狭い範囲なら安全のためにはぜひ使いたい材料です。

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