ぜんそくも花粉症同様、季節性のある病気で、春先や秋口などの季節の変わり目、梅雨時など湿度の高い季節に増悪する傾向があります。風邪をひいた時やタバコ、ストレス、過労、環境の変化などで発作が誘発されることがあります。
以前から少年期から青年期に多発し、成人するにつれて自然に治癒するのが普通でしたが、最近では乳幼児からの発症や成人してからの発症が目立ちます。また春先とか秋口といった季節性があいまいになってきているように見受けられます。
ぜんそくは適切な緊急処置をすれば比較的落ち着きやすい病気ですが、重積発作と呼ばれる重度の発作を起こすと呼吸困難に陥り、最悪の場合は死に至ることもある恐ろしい病気でもあります。患者は気管支を拡張させる薬剤を内服したり吸入したりしますが、年余に及ぶ治療の負担は体力的にも精神的にも筆舌を尽くしがたいものがあります。
ぜんそくの患者数が増えている理由についてもいろいろと解説されています。排気ガスなど環境の悪化、タバコの習慣などが原因とする説もありますが、大気汚染は1970年代以降むしろ改善傾向ですし、喫煙率も徐々に低下傾向なので、主要な原因とはいえないようです。
一つの有力な見方としては家屋の構造の変化があります。昔に比べて近年の住宅や職場では家屋の機密性が高まり、保温性には優れるものの風通しが悪くなったため、建材に使用している化学物質が篭りやすくなったこととカビやダニが発生しやすくなったことが、ぜんそくの増加に寄与しているといいます。
また特定の食材を食べた後にぜんそく発作を誘発する例が多いことから、食生活の変化や体質の変化を重視する意見が目立ってきています。食物アレルギーや後述するアトピーと共通する、現代人自身の内部に発生した急速な変化と無縁ではなさそうです・・(続く)
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このコラムの執筆専門家
- 吉野 真人
- (東京都 / 医師)
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