KSR最高裁判決後自明性の判断は変わったか?(6)第8回 - 企業法務全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
河野特許事務所 弁理士
弁理士

注目の専門家コラムランキングRSS

対象:企業法務

尾上 雅典
(行政書士)
小竹 広光
(行政書士)

閲覧数順 2016年12月02日更新

専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

KSR最高裁判決後自明性の判断は変わったか?(6)第8回

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 企業法務
  3. 企業法務全般
   米国特許判例紹介:KSR最高裁判決後自明性の判断は変わったか?(6)
      〜公知要素の組み合わせとMPFクレーム〜(第8回) 
   河野特許事務所 2010年1月29日 執筆者:弁理士  河野 英仁

                Fresenius USA, Inc., et al.,
              Plaintiffs- Appellants,
                 v.
               Baxter International., Inc., et al.,
               Defendants-Cross Appellants.


 その他、Newman判事は裁判所における特許有効性判断と、USPTOの再審査*11における特許有効性との関係について言及している。Newman判事は本事件の如く、裁判所にて特許有効性が十分に審理された場合、USPTOで再審査手続きが進行していようが、もはや地裁の差し戻し審において、USPTOの判断を待つべく審理を中断*12する必要はないと述べている。

 近年再審査の請求が増加しており、これに伴う審判請求及び訴訟も増加している。最近のUSPTOの統計*13によれば、2004年から査定形再審査の請求数は54%増加している。2004年は441件、2008年は680件、2009年は6月時点で481件である。そのうち31%は別途侵害訴訟が関連する案件である。

 また、当事者系再審査は、2008年で168件、2009年は6月の時点ですでに195件に達している。そのうち66%は別途侵害訴訟が関連する案件である。さらに2009年第3期における査定系再審査の平均係属期間は36.1ヶ月であり、2008年の34.6ヶ月より増加している。当事者系再審査に至っては41.7ヶ月の平均係属期間である。Newman判事は再審査制度の有効性を認めた上で、USPTOの審査遅延に乗じてこれを利用することは訴訟の迅速化、早期紛争解決の観点から妥当でないと述べている。


判決 2009年9月10日

以上
【関連事項】
判決の全文は連邦巡回控訴裁判所のホームページから閲覧することができます[PDFファイル]。
http://www.cafc.uscourts.gov/opinions/08-1306r.pdf

【注釈】
*1 KSR Int’l Co. v. Teleflex, Inc., 127 S. Ct. 1727, 1742 (2007)、550 U.S. _, 82 USPQ2d 1385 (2007)
詳細は
http://www.knpt.com/contents/cafc/2007.05/2007.05.htm
参照。
*2 TSMテスト:教示(teaching)-示唆(suggestion)-動機(motivation)テストの略である。先行技術の記載に重きを置き、ここに当業者がこれらを組み合わせるための教示、示唆または動機が存在する場合に、自明であると判断する手法である。Al-Site Corp. v. VSI Int’l, Inc., 174 F. 3d 1308, 1323 (CA Fed. 1999)。なお、TSMテスト自体は依然として有効である。
*3 eBay Inc. v. MercExchange, L.L.C., 547 U.S. 388, 394 (2006) 最高裁は永久差し止め(米国特許法第283条)が認められるためには原告が以下の4要件を立証しなければならないと判示した。
(1)回復不可能な損害の存在
(2)損害賠償等の法による救済が不十分であること
(3)両当事者に生ずる不利益のバランス
(4)公共の利益が害されないこと
*4 131特許のクレーム1は以下のとおり。
A hemodialysis apparatus, comprising:
(a) a dialysate-delivery system for supplying dialysate to a hemodialyzer, the dialysate-delivery system comprising at least one unit selected from the group consisting of (i) a dialysate-preparation unit, (ii) a dialysate-circulation unit, (iii) an ultrafiltrate-removal unit, and (iv) a dialysate-monitoring unit; and
(b) a user/machine interface operably connected to the dialysate-delivery system, the user/machine interface comprising a touch screen that displays information corresponding to a setting of a parameter pertinent to operation of the hemodialysis apparatus, the touch screen being operable to display an indicium permitting the user to perform, using the touch screen, at least one step of a procedure for changing the setting of the parameter, and to display a time-variable profile of the operational parameter, the profile being representable as a plot of coordinates, the plot being with respect to an ordinate of values of the operational parameter and a time-based abscissa.
*5 マーカッシュ形式とは、化学分野で主に用いられるクレーム形式であり、2種以上の物質を択一的に記載するクレーム形式である。例えばat least one compound selected from the group consisting of A, B and C(A,B及びCからなる群より選ばれた少なくとも一種以上の化合物)等と記載する。
*6 434特許のクレーム26は以下のとおり。
26. A hemodialysis machine comprising:
(a) means for controlling a dialysate parameter selected from a group consisting of dialysate temperature and dialysate concentration, and means for delivering the dialysate to a dialysate compartment of a hemodialyzer; and
(b) a user/machine interface operably coupled to said dialysate-delivery means, the user/machine interface comprising a touch screen adapted to display an indicium corresponding to a parameter pertinent to operation of the hemodialysis machine for performing hemodialysis and to permit the user, by touching the indicium, to cause a change in the parameter.
*7 特許庁HP
http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/shiryou/s_sonota/fips/mokuji.htm
参照。
*8 前掲特許庁HP
*9 Schering Corp. v. Geneva Pharms., Inc., 339 F.3d 1373, 1380 (Fed. Cir. 2003)
*10 CytoLogix Corp. v. Ventana Med. Sys., 424 F.3d 1168, 1178 (Fed. Cir. 2005)
*11 再審査に関する規定は以下のとおり。
第302条 再審査請求
何人も,第301条の規定により引用された先行技術を基礎として,特許商標庁による何れかの特許のクレームに対する再審査請求を随時提出することができる。
第311条 当事者系再審査の請求
(a) 概要
第三者請求人は,第301条の規定により提示された先行技術を基礎として,特許商標庁による特許の当事者系再審査請求を随時提出することができる。
前掲特許庁HP
*12 訴訟の中断に関しては米国特許法第318条に規定されている。
318条
第313条に基づいて特許の当事者系再審査命令が一旦出された後は,特許権者は,当事者系再審査命令の対象たる特許のクレームの特許性の問題に関して係属中の訴訟の中断を求めることができる。ただし,かかる訴訟が係属している裁判所が当該中断を司法上不当であると判断する場合はこの限りでない。
前掲特許庁HP
*13 2007年から2009年の再審査に関するデータは以下のサイトから取得できる。
http://www.uspto.gov/web/patents/documents/reexam_operations_06-09.pdf


 ソフトウェア特許に関するご相談は河野特許事務所まで 
 |  コラム一覧 |