- 伊藤 健之
- ユー・ダブリュ・コンサルティング 代表
- 経営コンサルタント
対象:経営コンサルティング
- 戸村 智憲
- (経営コンサルタント ジャーナリスト 講師)
「奥義」とは、いくつもの「組織の現場力回復プロジェクト」を手がけてきた経験の中で得た知見を
ノウハウとして整理したものになります。
また、これらの「奥義」はすべて「現場力」回復物語(実例)と連動してご紹介していますので、
物語をお読みいただいた後の方が、臨場感をもっていただけると思います。
この奥義は、「現場力」回復物語〜第3話〜と連動しています。
「現場力」回復の奥義2 : 書き出すことで対話の質を上げる
業務時間中にわざわざメンバーが集まって議論をするのですから、全員のアイディアや意見を余すと
ころなく出し切り、効果的な議論をしたいものです。ある人に発言が偏ってしまったり、声の大きな
人に全体が流されてしまっては、せっかくのチーム活動が盛り上がりませんし、活動への参加
意欲も殺がれてしまいます。
では、全員が意見を出し合えるようにするためにはどうすればいいのでしょうか?
「ポストイットに書き出して議論をする」
これが効果的です。
「口に出して言いにくいこともあるよね」
「今からポストイットを配るから、みんなの“ありのままの意見”を無記名で書いていこうよ」
こんな感じで進めていきましょう。
こうして各自から出された意見(ポストイット)をベースに話し合いをすることにより、「声の小さ
い人の意見」や「少数意見」についてもしっかりと議論されることになり、参加メンバーの納得感や
議論の質を高めることができます。
私がやる手順を以下に示しますので、ぜひ試してみてください。
いつもと違った「効果的な」議論になるはずです。
1) まず、以下のものを用意します。
・模造紙(縦80センチ×横110センチくらい)
・ポストイット(7.5センチ×12センチ、参加者1人当たり15枚くらい)
・ガムテープ(1ロール)
・黒のマーカー1人1本(太すぎず、細すぎず、3メートル先から読める位)
・赤のマーカー(1チームに1本)
2) 全員が一室に集まります。
3) 1チームに1枚ずつ模造紙を配り、それを壁に貼ります。
4) 各メンバーに5枚ずつポストイットを配り、「あなたの職場にはどんな問題があるか」を
各人がポストイットに書いていきます。(大体15分くらい)
5) その際、1枚に1つのことだけ書きます。
6) 書いている間はお互いに話してはいけません。
7) 3メートルくらい離れても見えるくらい「大きな文字」ではっきり書きます
8) 書き終わった人からポストイットをでたらめに模造紙に貼ります。
9) 全部の人が書き終わったら、全員模造紙の前に来て、似たような内容のものは1箇所に集め、
幾つかのグループに分類します。
10) その際、1枚1枚のカードの内容について全員が理解し合うまで話し合います。
(最低でも40分)
11) 各グループをよく表わすタイトルをポストイットに赤ペンで書き、そのグループの上に
タイトルカードを貼ります。
12) この結果いくつかの問題のグループができます。これで「問題の親和図」が出来上がりです。
13) 複数のチームがある場合は、チームごとに「問題の親和図」を発表して、質疑応答を通じて、
全チームで「愚痴、不満」「問題認識」などを分かち合います。
この「ポストイットセッション」は、いろんな場面で使えます。
「問題意識の洗い出し」、「根本原因の洗い出し」、「打ち手の考案」など「議論を広げる」局面で
はとてもパワフルな手法です。
(議論を収束させるテクニックについては、また別の機会に書きたいと思います)
簡単な方法なので、職場内で何かを話し合うときにはポストイットを持参してみてください。
■適用ステップ >> ステップ1:「愚痴・不満から”何かやろう”へ」