- 伊藤 健之
- ユー・ダブリュ・コンサルティング 代表
- 経営コンサルタント
対象:経営コンサルティング
- 戸村 智憲
- (経営コンサルタント ジャーナリスト 講師)
「奥義」とは、いくつもの「組織の現場力回復プロジェクト」を手がけてきた経験の中で得た知見を
ノウハウとして整理したものになります。
また、これらの「奥義」はすべて「現場力」回復物語(実例)と連動してご紹介していますので、
物語をお読みいただいた後の方が、臨場感をもっていただけると思います。
この奥義は、「現場力」回復物語〜第4話〜と連動しています。
「現場力」回復の奥義3 : やりたい人から始める(全体で始めない)
「愚痴は甘えだ」
「愚痴はけしからん」
と考える管理職は結構いるものですが、私は職場から「愚痴をなくしてはいけない」と考えています。
愚痴には「後ろ向きなもの」と「前向きなもの」があります。
「後ろ向きな愚痴」は、「職場の仲間と分かち合う」という実にシンプルな方法で、その多くが解消
されてしまうものです。
前回のコラムでご紹介した「ポストイットセッション」で愚痴や不満を分かち合ってみると、単に話
し合い、意見を交換することにより、多くの愚痴・不満が解決されることに気がつきます。
たとえば、上司の悪口や仕事内容の不満などは、誤解が重なって不満になっていることもよくありま
すが、こうした不満は吐き出して誤解が解けることで解消します。
効率化や合理化を推し進めた結果、職場の仲間同士で飲みにいったり、レクリエーションをする機会
が減っています。こうした職場においては、本来、自然解消できる「後ろ向きな愚痴」が、個人の中
に蓄積してしまい、やる気を殺いでしまっていないか、と心配です。
次に「前向きな愚痴」についてお話ししましょう。
「前向きな愚痴」とは、「職場に期待しているものがある」のに「それが実現できていない」から噴
き出しているもの、と言い換えることができます。こうした愚痴には、職場がより良くなるヒントがたく
さん含まれていますから、大切にしたいものです。
「愚痴はけしからん」「愚痴はないほうがいい」という考え方は、こうした「前向きな」愚痴さえも
封じ込めてしまいかねません。
「現場力」回復物語の中で、仲間も自分と同じような不満をもっていたことに気がつき、
「気持ちが楽になった」と言っています。
「現場力」回復物語にある「TEAMカイゼン活動」に照らしてみると次のようになります。
【チーム活動】
仲間と愚痴を分かち合い、後ろ向きな愚痴を解消する「場」
【ラウンドテーブル】
「前向きな愚痴(=組織がよりよくなるヒント)」を部門長と分かち合い、職場改善のヒントを得る
あなたの職場でも、愚痴を言い合える雰囲気、後ろ向きな愚痴は仲間とのかかわりによって
自然と解消していく雰囲気ができていますか?
■適用ステップ >> ステップ1:「愚痴・不満から”何かやろう”へ」