- 野平 史彦
- 株式会社野平都市建築研究所 代表取締役
- 千葉県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
住宅断熱基礎講座/エアサイクルと高・高は基本が違う
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住宅断熱基礎講座
04.高気密・高断熱は様々な工法へと向かう
2009-11-02 17:35
高気密高断熱住宅が防湿シートによる内断熱で壁体内の気流を止め、それプラス通気工法という仕様で壁の内部結露を無くそうとしたのに対し、エアサイクルでは壁体内に気流を起こすことで壁体内の温度差をなし内部結露を防ごうという全く逆の発想があります。
エアサイクルの思想は基本的に日本人がその歴史の中で培ってきた家造りの延長線上にあると言え、できる限り自然の力だけでより良い住環境を実現しようとしたものと言えます。
そのため反高気密高断熱派として、高気密化や全室暖房、計画換気といったことには暫く無関心な姿勢が見られました。
しかし、どんなシステムでもその効率を高めるには熱損失を抑える必要がある訳で、今日では工法の合理化と共に高気密高断熱仕様のエアサイクル商品としてFACT-P、スーパーF(フクビエアサイクル)といったものが開発され、エアサイクルも高気密高断熱化が進んできています。
ところが 高気密・高断熱化されたエアサイクル住宅における室内気候のデータを見ると、単なる高気密・高断熱仕様の住宅との差があまりないような気がするのです。
勿論、全く同じ住宅モデルを使って比較することができないので断言することはできません。しかし、高気密・高断熱を基本ベースに考えると、付加されたエアサイクルの効果が逆に希薄になってしまった感があります。