- 河野 英仁
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対象:企業法務
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〜改正専利法を踏まえた中国模造品対策シミュレーション〜(第10回)
河野特許事務所 2009年7月31日 執筆者:弁理士 河野英仁
(3)発明特許権侵害訴訟の中止
訴訟が発明に係る特許権侵害の場合,答弁期間内に被告が無効宣告を請求したとしても,人民法院は訴訟を中止しないことができる(同法第11 条)。
(4)自由技術の抗弁
被告からの抗弁の一つとして自由技術の抗弁が想定される。これは,イ号製品が特許出願前に公知であった場合等に,被告がこれを人民法院にて抗弁として主張するものである。無効宣告を復審委員会に請求することなく,人民法院の審理にてこれを主張することができる。
改正専利法第62 条はこれを明文化した。改正専利法第62 条は以下のとおり規定している。
「特許侵害紛争において,侵害被疑者が,その実施技術あるいは設計が,現有技術または現有設計に属することを,証拠をもって証明した場合,特許権の侵害を構成しない。」
ここで,外観設計における現有設計とは,所謂新規性のない外観設計であり,現行法より範囲が広くなっている点に注意すべきである。改正専利法第23 条第4 項は以下のとおり規定している。
「本法において,現有設計とは,申請日以前に,国内外にて公衆に知られた設計をいう。」
すなわち現行法では,刊行物公知が世界主義であり,公然実施は国内主義であったところ,外観設計の登録要件を向上させるべく,刊行物または公然実施のいかんにかかわらず,世界主義を採用したものである。
(第11回に続く)
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