人口構造の変化と育児休業 - 社会保険労務士業務 - 専門家プロファイル

本田 和盛
あした葉経営労務研究所 代表
千葉県
経営コンサルタント

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対象:人事労務・組織

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人口構造の変化と育児休業

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少子化・高齢化 育児休業
 育児介護休業法の改正法が、国会で成立しました。そこで本コラムでは、少子化や育児休業について解説していきたいと思います。

近年の人口構造の変化


現在、日本においては急速に少子高齢化が進展しています。全人口に占める65歳以上の高齢者の割合は、2005(平成17)年では21.9%となっていて、現在のまま推移すると2030年には全人口のおよそ3人に1人が、65歳以上が占めることになると予測されています
また2005年において日本は人口減少社会となり、2055年においては人口が90万人を下回るとも予測されています。(根拠:平成20年度版厚生労働白書、国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」平成18年12月公表の中位推計)
少子化は将来の労働者人口の減少を意味し、労働者1人当たりの付加価値生産性が変わらないとすると、日本経済のマイナス成長は避けられません。さらに少子化によって、年金制度を支える働き手が減少し、社会保障の面でも深刻な状況が予期されます。

少子化対策


人口構造の変化に伴う労働力人口の減少は、経済社会への持続的発展を妨げ、また公的年金制度や医療保険制度といった社会保障制度に深刻な影響を及ぼしています。少子高齢化対策、特に子供を生み育てやすい環境づくりは国家としての喫緊の課題となっています。
育児休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)はこれらの社会状況を背景として平成3年に法制化されました。
働きながら子育てをする労働者(男女を問わず)の職場環境を整え「職業生活と家庭生活の両立」を図ることを目的としています。その後、幾度かの見直し・改正を経て現在に至っています。
しかし合計特殊出生率は長期下落傾向が続き2005年においては1.26%であり、今後も適時改正が続くものと考えられます。
2004年には「次世代育成支援対策推進法」が施行され、「次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、かつ、育成される社会の形成に資すること」を目的として、この目的に適うべく、次世代育成支援対策に関し、基本理念を定め、関係者の責務、行動計画の策定等について規定し、多面的な子育て支援を行なおうとする国として基本方針を打ち出しました。

育児休業の取得率


平成19年度雇用均等基本調査によると、在職中に出産した者又は配偶者が出産した者に占める育児休業取得者の割合(育児休業の取得率:規模計)は、平成18年度は女性が89.7%(平成17年度72.3%)、男性が1.56%(同0.50%)でした。
 この調査は、以前「女性雇用管理基本調査」という名称で行われていましたが、10年前の平成8年度の同調査結果(事業所規模5人以上)を見ると、女性49.1%、男性0.12%でした。
このことから女性労働者の取得率はかなり向上してきたと言える一方、男女を等しく対象としてはいるものの、男性労働者の取得率は、今だ十分とはいえません。
また事業規模別に見ると、規模が大きくなるほど育児休業の取得率が向上しています。人材面で余裕のない中小企業では、育児休業の取得が困難であることが分かります。

執筆:あした葉経営労務研究所 代表
    凄腕社労士 本田和盛

執筆協力:あした葉経営労務研究所 
 パートナー社労士 佐々木隆