米国判例:均等論におけるFunction-Way-Result Test-1- - 企業法務全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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米国判例:均等論におけるFunction-Way-Result Test-1-

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   米国特許判例紹介:均等論におけるFunction-Way-Result Test
      〜均等論のFunctionと特許表示〜(第1回) 
          河野特許事務所 2009年5月22日
                      執筆者:弁理士  河野 英仁

           Crown Packaging Tech., Inc., et al.,
                    v.
              Rexam Beverage Can Co.,

1.概要
(1)特許権侵害の判断にあたってはクレームに記載された文言どおりに解釈するのが原則である。しかしながら、文言解釈を厳格に適用した場合、文言に合致しない迂回技術を採用することで第3者が容易に特許の網をすり抜けることができてしまう。

 このような不合理を回避するために、クレームの文言に加え、これと均等な範囲にまで権利範囲を拡張する均等論が存在する。米国においては、クレームされた発明とイ号製品との間の相違が非本質的である場合に均等と判断される。具体的な均等の判断手法の一つとしてFunction-Way-Resultテスト(以下、FWRテストという)が知られている。

 FWRテストとはイ号製品が、クレームされた発明に対し、実質的に同一の機能(Function)を果たし、同一の方法(Way)で、同一の効果(Result)をもたらす場合に均等と判断する手法である。本事件ではイ号製品とクレームされた発明とが同一の機能を果たす一方で、クレームされた発明はイ号製品とは異なる2つの機能をも果たすと被告が主張した。

 地裁はクレームされた発明が、イ号製品にない他の機能をも果たすことから均等論上非侵害と判断した。原告はこれを不服としてCAFCへ控訴した。CAFCは被告が主張した2つの機能に係る証拠が不十分であるとして地裁の判決を無効とした。

(2)米国特許法287条(a)は特許権者に特許番号を含む特許表示を行うことを要求しており、これを怠った場合、特許権者は、侵害者に通知を行う以前の侵害行為に基づく損害賠償を請求できなくなる。

 特許法第287条(a)は物のクレームに対して適用され、方法のクレームに対しては適用されない。本事件において特許は物のクレームと方法のクレームとの双方を含んでいるところ、特許権者は方法のクレームのみに基づいて特許権侵害を主張した。地裁は、特許権者が主張したのは方法クレームであるものの、特許は物のクレームを含んでおり、かつ特許権者が販売する装置になんら特許表示を行っていなかったことから、特許法第287条(a)の規定により損害賠償は認められないと判断した。

 CAFCは、たとえ特許が方法及び物の双方のクレームを含んでいようが、方法クレームのみを権利侵害として主張する場合は、特許表示は不要であり、米国特許法第287条(a)は適用されないと判示した。

                                   (第2回へ続く)


  
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