- 野村佳代
- 出版/広告プロデュース〜企画・ライティングからデザイン・印刷まで 株式会社アスラン編集スタジオ 代表取締役
- ライター
結論を伝えたうえで展開する(2)
例文で見る「結論」を先に伝えるメリット
通常、文章は「○○だから、△△である」と続きます。
たとえば「寒いので、コートを着ました」となるわけです。
しかし、ビジネス文書では「△△である。なぜなら○○だから」とします。
先の例では、「コートを着ました。なぜなら寒いからです」となります。
先に結論を述べると、読み手がわかりやすくなります。
結論がわかっているため、各論がスムーズに頭に入るからです。
ビジネスでは、文章で相手を楽しませる必要がありません。
「どうなるのだろう」とワクワクさせて読ませる必要がないため、「先に結論を書く」方法がとられるわけです。
悪い例として、次の文章を読んでみてください。
<悪い例>
先日、全社で行われた健康診断で、運動不足と判定された人が全社員の46%にもなりました。運動不足は健康を害し、ひいては業務に支障が出るおそれがあるため、これを早急に解消する必要性があります。
また、A工場では、私用車での通勤が過去3年間で急速に増え、現在は70%を超しております。そのため、駐車場が不足しております。
また、当社の長期計画の中で、エコ活動に力を入れていくとあり、その一環として私用車での通勤を減らしていく必要もあります。
以上の観点から、現在は安全面の配慮から禁止されている自転車通勤を推奨することを提案いたします。
上の文章が悪いわけではないと思います。
理由と結論がはっきり書かれており、「わかりにくい」とは言えません。
しかし、一つ欠点があります。それは、「最後まで読み通さなければ言いたいことがわからない」ことです。
以下の文章と比べてみてください。
<例文>
現在、当社では安全面の配慮から自転車通勤を禁止していますが、これを解除し、自転車通勤を推奨することを提案します。その理由は3つあります。(1)社員の運動不足解消、(2)私用車通勤者の増加による駐車場の不足、(3)長期計画でのエコ活動の推進です。
(1)社員の運動不足解消
先日、全社で行われた健康診断で、運動不足と判定された人が全社員の46%にもなりました。運動不足は健康を害し、ひいては業務に支障が出るおそれがあるため、これを早急に解消する必要性があります。
(2)私用車通勤者の増加による駐車場の不足
A工場では、私用車での通勤が過去3年間で急速に増え、現在は70%を超しております。そのため、駐車場が不足しております。
(3)長期計画でのエコ活動の推進
当社の長期計画の中で、エコ活動に力を入れていくとあり、その一環として私用車での通勤を減らしていく必要があります。
下の文章の方が、すっきりしないでしょうか。
これが、文章の展開をあらかじめ予想させる効果です。
先に「総論」として結論が述べられているため、場合によっては各論を読む必要もなく、主旨がわかるというメリットもあります。
ビジネスでは「短い時間で相手に伝える」ことが求められます。
そのため、このような「総論(結論)を先に」「数字を用いて整理する」ことが効果的なのです。
次回は、文章を見直す際のポイントについて紹介します。