- 山本 雅暁
- グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
- 神奈川県
- 経営コンサルタント
対象:経営コンサルティング
- 戸村 智憲
- (経営コンサルタント ジャーナリスト 講師)
ローソン、am/pmを買収:M&A 事例と活用ポイント
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M&Aコンサルタントとしての活動
M&Aの事例と経営手法としての活用と課題
2009-02-28 19:38
コンビニ業界の大型再編は2001年のサークルKサンクスの経営統合以来となる。
と発表されました。
産経ニュースによると、
am/pmは2004年にレックスが新日鉱ホールディングスから170億円で買収。リストラを進めて店舗数を減少させたが、経営再建は難航し、平成19年12月期末には約120億円の債務超過に陥っていた。今年9月上旬にはam/pmを入札方式で売却する方針を固め、ローソンやコンビニ業界第3位のファミリーマート、総合商社などに話を持ちかけていた。
ローソンは全国に約8600店を展開するが、最大手のセブン−イレブン・ジャパンは1万2000店規模で、後塵(こうじん)を拝している。特に、収益性が高く今後の成長も見込める東京都内では大きく水をあけられている。
am/pmは1000店規模のチェーンだが、約半数の店舗が東京都内に立地する。ローソンは、am/pmを買収すれば一足飛びにセブン−イレブン・ジャパンに迫る都内の店舗網を確保することになる。
何故ローソンは、am/pmを買収する戦略を取ったのでしょうか。
コンビニ大手のローソンがam/pmを買収する背景には、今後も成長が見込める首都圏への店舗網を手厚くしたい狙いがあります。人口減や少子化が全国で進み消費市場が縮小傾向にある中、国内でも数少ない成長市場である“東京マーケット”への足場を築き、競争が激化する業界での生き残りを図りたい考えです。
ローソンは全国四十七都道府県に店舗を配置する半面、東京都心や近郊の店舗は他社に比べて少なく、首都圏の強化は大きな経営課題だったようです。
首都圏に数多く店舗を持つam/pmを得ることで、その課題は解消に向かう。ローソンによると、都内のコンビニ店舗数は、業界一位のセブン−イレブンが約千六百店なのに対し、ローソンとam/pmの店舗は合計千七百二十店となり、店舗数では都内一位となる。
コンビニ業界は二〇〇八年の年間売上高が百貨店を小差で抜き、不況期にも好調を維持しているかのようにもみえます。
しかし、この数年の業界動向をみると、コンビニ業界は店舗数・売上高の伸び悩みが課題となっており、ローソンにおいても同様の課題を抱えていました。特に2000年を越えたあたりから店舗数・売上高は頭打ちとなり、市場成長率が急激に鈍化した状態となっています。
また、2004から2005年以降は、ディスカウントを行わず高い収益性を誇っていた既存のコンビニ業界に、100円ショップコンビニが殴りこみをかけて猛威を振るったのがここ数年のコンビニ業界の動向を特徴付けています。慌てた既存のコンビニは飲料商品の値下げなどに踏みきり、セブンイレブンの成功に始まったコンビニの高収益モデルは崩れかけているのが現状です。
つまり、コンビニ業界も'成熟化'が進み、市場規模が右上がりではなく、横ばいか、右下がりになり始めたことを意味しています。
この様な業界では、市場占有率が1位か、2位の企業でないと生き残れません。
ローソンは、am/pmの買収でセブンイレブンに迫ろうとしたわけです。
この事例をAll About読者の事業に置き換えて考えてみます。
どの事業・企業もひとの一生と同じで、導入期、第一成長期、第二成長期、成熟・衰退期のライフサイクルがあります。
*導入期;商品、サービスの立ち上げ時期⇒赤ちゃんと一緒で非常な手間をかける必要がある。
*第一成長期;商品、サービスの認知度が上がり、売上げが伸びる。競合他社が対抗商品、サービスの導入準備を開始する。
*第二成長期;商品、サービスの市場への浸透が定着し、広告への反応が悪くなる。シェアを取っていれば広告を打たなくても市場で認知されている。
*成熟・衰退期;淘汰が始まりシェアの小さい会社や特徴を出せない会社は撤退を始める。1位、2位のシェアを取っていれば広告を打たなくても市場で認知されている。結果として利益をエンジョイできる。
ここでのポイントは、1位、2位のシェアを取っているかどうかです。
先のローソンは、コンビニ業界で1位のシェア取りに動いたと考えられます。
もし御社の事業を行っている市場、業界が'成熟・衰退期'に入っており、1位、2位のシェアを取れていない場合、経営者としては次の一手を考える時期に来ています。
この時に有効な経営手法の一つが、'M&A(企業の買収・売却)'です。
現在の日本では、大手企業だけでなく、ベンチャーや中小企業が成熟・衰退期に入った事業への対応手段の一つとして、M&Aを使い始めています。
私が手がけるM&A案件は、昨年後半から急に増えました。
現在も数件の案件を手掛けています。
M&Aを行う理由は様々です。
売却する場合は、不振の事業が黒字のうちに売って、成長が見込める新規事業への投資にまわす、既存の他事業強化への投資にまわす、運転資金を確保するなどです。
対称的に、買収する側は、新規事業展開を短期間に行うために、既にその事業で基盤を確立したものに投資します。つまり、お金で、事業基盤確立のための時間を買うわけです。
売る側と買う側が上手くマッチング取れれば、両社、Win/Winの関係になりハッピーになれます。
ここに私が積極的にベンチャーや中小企業のM&A活動を支援するモチベーションがあります。
もちろん、売る側と買う側がハッピーになるには、解決すべき課題や問題が出て来ます。しかし、両者の希望が一致し続けていれば、必ずすべてのことは解決できます。
もし御社の事業を行っている市場、業界が'成熟・衰退期'に入っており、1位、2位のシェアを取れていないと感じている経営者の方がおられましたら、一度M&Aを経営手段の一つとして考えてください。
M&Aに関してご不明な点がありましたら、何時でも私までお問い合わせください。
今後ともよろしくお願い致します。
'グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁
このコラムの執筆専門家
- 山本 雅暁
- (神奈川県 / 経営コンサルタント)
- グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
起業・企業存続の為の経営戦略立案・実行と、ビジネススキル向上
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