- 村上 治彦
- 一級建築士事務所 村上建築設計室 代表
- 東京都
- 建築家
対象:住宅設計・構造
「ここはね〜。幹線道路が近いから、洗濯物は外に干すと余計に汚れるの。」
鉄骨造3階建住宅の打ち合わせのときのお施主さんの言葉です。
このひと言で、今回はバルコニーなどの外部空間を設けず
室内干しに徹することに決めました。
上階からの光をおろすための吹抜けを設けていましたので、
その吹抜け上部を洗濯物の定位置にすることになりました。
こちらのお宅では、1階がお母さまの居室なので、お風呂は1階に。
また、家事効率から2階のキッチンの近くに洗濯機を備えることにしましたので、
3階の吹抜けに干すとなると、洗濯物を1階から2階、2階から3階へと運ばねばなりません。
「50代のご夫婦と80代のお母さま」という家族構成を考えると、
将来的には、「水を含んだ洗濯物をもって階段をあがる」という毎日の動作は
大変な負担になります。
そこで、2階で干した洗濯物を電動で3階まで上げることにしました。
電動で上下する物干し、商品化されているものもありますよね。
ただ、商品化されているものでも1層分の移動をするものは皆無。
これを現実とするための情報収集にもかなり時間を使いました。
結果的に舞台設備のバトンをつかうことに。
写真は2階の吹抜けの見上げと、3階から吹抜け越しに窓を見たところ。
3階の窓は南側に面していて太陽光たっぷりです。
お母さまが「さすがに贅沢じゃない?」と仰っていましたが、
これも毎日のこと。
業務用中華コンロと同様、予算調整時もこれだけは死守。
例えば、洗濯機と同じフロア(2階)に物干し用にバルコニーを設けるよりは、
よっぽど費用対効果が大きいのです。