円満相続にする3つの秘訣

●　円満相続のたった1つの秘訣

　実母側の家族の配慮は、突然行政書士からの書類が届く無機質な対応を避け、ぬくもりのある現金三等分の提案をしたことです。実母側の望みは家屋土地を除いての遺産分割です。

　実は遺産放棄は、知ってから3ヵ月以内です。ですから亜希子さんは所定の手続きで遺産放棄できたはずです。ですが突然書類が送られて内容が遺産放棄だったら、誰でもムカつくはずですよね。

　更に法的に全財産の三分の一は亜希子さんの取り分です。ですから拒否される可能性が高い全財産遺産放棄ではなく、実母の土地のみの遺産放棄を提案したのです。実母側にとってベターな提案でした。

　亜希子さんの配慮は、家屋土地約800万を放棄する内容を受け入れたこと。実母の新たな家庭を壊したくないと考えていたこと。法的闘争は好まなかったこと。この3点です。

　双方の配慮が円満相続になった理由です。
　

【相続を円満にする3つの秘訣】

1.      法的状況を把握し不必要な感情は整理する

2.      相続分割内容を決める。自分のベストでなくお互いが納得するベターを選ぶ

3.      相手の立場を配慮すると共に要求を伝える

　ぜひ、相続を円満にする3つの秘訣を使って円満相続をしてください。
　　

　実は血縁関係の付き合いは、お葬式、相続だけで終わりというわけではありません。結婚式や日々の付き合い、盆暮れなども含まれます。

　どの程度の親戚付き合いにするかという暗黙の合意を通常、無意識にしています。

　嫁姑問題は身内付き合いの意識がズレている例です。
　疎遠を望む嫁と親密な付き合いを望む姑、ほどほどの付き合いを望む兄弟と疎遠になりたい伴侶たち、このように各自の意識がズレると起きるのが嫁姑問題です。

　実は、円満相続でも同じように親戚付き合いの意識がズレることが起きます。

　血縁者がどのような付き合い方をするか、双方の意識の確認をしないからです。

　ケース１のようにお互い親戚付き合いしたくないと双方の希望が一致している場合は、後々楽です。
　異父兄弟や異母兄弟、継子に、直系の兄弟を恋しがる傾向があるとき、ズレるようです。
　

　亜希子さんはご自分が実母の一周忌に参加したら親類たちは戸惑うことも自覚していましたが、できれば、年賀状や盆暮れのやり取りぐらいの緩いお付き合いを未だ会ったことのない妹さんたちに望んでいました。
　

次回は、相続での荒ぶる感情をなだめる3つのアプローチ