マチネ(matinee)とはフランス語の朝・午前が語源で、最近は音楽会や演劇の昼公演のことをこのように呼んでいます。
マチネという言葉だけで見ると最近では平野啓一郎さんの小説「マチネの終わりに」でご存知の方もおられると思います。
サントミューゼ(上田市交流文化芸術センター)主催の今回のマチネはサクソフォンの田中靖人さん、ピアノの白石光隆さんのコンサートでした。
田中靖人さんは東京佼成ウインドオーケストラのコンサートマスター、サクソフォン四重奏団のトルヴェールカルテットのバリトン奏者、オーケストラでのソリストでの演奏、といった日本を代表する演奏家です。
白石さんとは昨年度、サントミューゼ・レジデントアーティストとして市内の小学校や公民館などでコンサートをおこないました。
中でも上田電鉄別所線の車内での演奏の様子は信濃毎日新聞でも取り上げられました。
今回のコンサートは約一時間というクラシカルなコンサートと比べ短く軽いもので、コンサートホールに初めて来られる方にとっては聴きやすい長さです。
サクソフォンの重要なレパートリーである R.ブートリー作曲「ディヴェルティメント」や E.モリコーネ作曲(真島俊夫編曲)「モリコーネ パラダイス」のような映画音楽までというように幅広いプログラムでした。
「モリコーネ パラダイス」はモリコーネの作曲した映画音楽の中から、言わばメドレーみたいなもので、真島さんの編曲が秀逸でした。
特に私は「ニュー・シネマ・パラダイス」が好きで、あのテーマを田中さんの演奏で聴くことができ感激しました。
このホールでは何回かコンサートを聴きましたがステージで発する音が太く客席へ飛んできます。
田中さんの輪郭のある音色は客席へとぼやけることなく非常に美しく聴こえ、特にブートリーでそれを強く感じました。
白石さんの演奏したソロ曲では V.ヤング作曲「ステラ・バイ・スターライト」のロマンティックで美しい演奏が印象に残っています。
公共ホールが主催するマチネならではのワンコイン、わずか500円で一流の素晴しい演奏を聴くことができるという催しは以前に比べてずいぶん多くなりました。
皆さんも機会があれば近くのホールへ足を運んでみてはどうでしょうか。
サントミューゼ ワンコインマチネ Vol.7
田中靖人(サクソフォン) & 白石光隆(ピアノ) コンサート
主催:サントミューゼ(上田市交流文化芸術センター)、 上田市教育委員会
日時:2016年8月18日(木) 11:30開演
会場:サントミューゼ 小ホール
平成28年度文化庁芸術・音楽堂等活性化事業
このコラムの執筆専門家
- 成澤 利幸
- (長野県 / 音楽家、打楽器奏者)
- 成澤打楽器音楽教室
音楽はみんなのもの
楽器の演奏は専門家からのちょっとしたアドバイスによりスムーズに上達したり音楽の奥深さに触れることがあります。ドラムやマリンバ、いろいろな打楽器のレッスンを通して皆さんのお力になれればと思います。
このコラムに類似したコラム
プロフィール写真の背景のこと 成澤 利幸 - 音楽家、打楽器奏者(2014/04/16 21:17)
最近の演奏会から(13) 窪田健志 パーカッションリサイタル 成澤 利幸 - 音楽家、打楽器奏者(2016/03/20 13:39)