取締役の報酬 (1) - 独立開業全般 - 専門家プロファイル

後藤 義弘
代表取締役
社会保険労務士

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対象:独立開業

尾崎 友俐
尾崎 友俐
(経営コンサルタント)

閲覧数順 2024年04月24日更新

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取締役の報酬 (1)

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Q&A番外編 報酬・年俸制
【テーマ】
任期途中の役員報酬減額 〜「労働法」からのアプローチ〜

【関連Q&A】
http://profile.ne.jp/pf/ysc-kaigyou/qa/detail/1765

このQ&Aでは 役員としての「報酬」 を、その任期中の同意なく減額できるかについて、''会社法'' と ''最高裁判例'' の立場からお話しましたが、ここでは兼務役員が ''従業員として受ける「給与」'' の減額可否について ''労働法'' からのアプローチで検証してみたいと思います。

従業員として受ける「給与」 は一般従業員と同じく「就業規則」等で定められた「給与規定」にそった支払いがなされていれば、その給与の額が「就業規則」を通し契約の内容となり会社と従業員との間の「約束事」となります。

ということは、この給与規定は会社と全従業員との間の契約となるため、何らかの理由で給与を減額する場合、やはり全従業員の同意を得るプロセスを経なければならないのが原則です。 そういう意味では前回の役員報酬同様やはり引き下げには 「同意」が必要 ということになります。

しかし実際問題、業績悪化等の経営事情による賃下げの必要が生じた場合、従業員全員の同意をくまなく得るのは至難の業です。 ましてや倒産必至というような緊急時に従業員全員の同意を得ている暇などありません。

そこで労働法はいくつかの要件をクリアした上で 「就業規則の変更」 という賃下げ等労働条件の変更を正当化するツールを用意しています。 

ただこの要件は非常に厳しく、そのキーワードは

 ・ 必要性 (減給が経営上ほんとうに必要か?)
 ・ 合理性 (経営判断として合理的か?)
 ・ 代替・緩和措置 (不利益をいくらかカバーする措置が施されているか?)
 ・ 誠実な交渉・説明義務 (協議の場を設け誠実に対応しているか?)
 ・ 社会相当性 (程度が社会的・世間的にみて妥当かどうか?)  次コラムへ…