結婚したとき - 保険設計・保険見直し全般 - 専門家プロファイル

田中 香津奈
かづなFP社労士事務所/株式会社フェリーチェプラン 代表取締役
東京都
CFP・社会保険労務士

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かづな先生の新保険ゼミ 07.保険見直しのポイント

配偶者に対する責任から、ある程度の死亡保障が必要となりますが、共働きか専業主婦(主夫)なのか、夫婦の価値観などによって保険の入り方は異なります。まずは、お互いに独身の頃から加入している保険の保障内容や保障額の確認をしたうえで、過不足分を見直しましょう。加入している死亡保障は、一般的には死亡保険金が親に指定されています。継続する場合で、保険金を配偶者に渡したい場合は、受取人を親から配偶者に変更する必要があります。配偶者が亡くなったとき、受取人が親のままになっていると、死亡保険金は親に支払われ、配偶者は受け取ることができません。仮に、親から配偶者にお金を渡してくれたとしても、贈与税がかかるといった不都合が生じるからです。

共働きの場合、死亡保障は基本的には必要ありません。子どもが生まれた場合は、その時点で新たに死亡保険を検討すればよいでしょう。ただし、お互いにお葬式代くらいは保険で用意しておきたいとか、相続対策など、生命保険にしかないメリットを活用したいという場合には、ベースとなる「終身保険」に加入しておくのも1つの方法です。

子どもがいない夫婦の場合、共働きか専業主婦(主夫)関係なく、配偶者が亡くなったときの遺産相続については、あらかじめ考えておく必要があります。というのも、配偶者が残した財産をすべて受け取ることができないというリスクが生じるからです。
子どもがいない夫婦の場合で夫が亡くなると、法定相続人は妻、夫の両親になります。そして、民法の規定する相続分(法定相続分)は、妻が3分の2、夫の両親が3分の1です。夫の両親がともに亡くなっている場合は、夫の兄弟姉妹と遺産分割協議をしなければならず、全員の印鑑証明書が必要になります。分割協議がまとまるまでは夫名義の預貯金も引き出せなくなります。
夫婦で築き上げてきた財産を妻に残すためには、生命保険に加入し、死亡保険金の受取人を妻にしておくことですべてが解決します。生命保険の受取人は、分割協議をすることなく保険会社に請求手続きをすれば、妻名義の指定口座へ保険金が振り込まれます。財産を残したい人に現金を確実に残すことができるのが生命保険なのです。他の財産を放棄した場合であっても、保険金だけは、受取人がもらうことができます。そして、この場合の生命保険とは何歳で亡くなっても死亡時に死亡保険金が支払われる「終身保険」が最適です。保険金額については、保険金の非課税枠である500万円を基準金額にするとよいでしょう。



加入目的によって、選択する商品が異なりますので、代表的な商品を確認しておきましょう。
貯蓄性を活かした資産形成が目的であれば、定額の「終身保険」を検討しましょう。なぜなら、保険料の払い込みが一定期間で終了するタイプ(有期払込)で加入すると、保険料払込満了時に一生涯の死亡保障にかえて、解約して一時金を受け取ったり、保険会社によっては年金受け取りを選択することができる特徴を上手に活用するためです。定額の「終身保険」は、一般勘定(主に長期の債券)で保険料を運用します。契約時の予定利率で運用するので、保険金額・解約返戻金ともに契約時に確定しています。保険料払込期間中の解約返戻率を80~90%に設定していて、払込期間が終了すると解約返戻率は100%を超えるケースが多いです。
一生涯の死亡保障を割安な保険料で加入することが目的であれば、「変額終身保険」を検討しましょう。「変額終身保険」は、特別勘定(国内外の株式および公社債)で保険料を運用するので、運用実績にもとづいて保険金額が変動する保険です。しかし、死亡保険金については、あらかじめ決められた基本保険金額が保証されていて、途中解約さえしなければ運用による損失をかぶる可能性はありません。しかも、最低保証額の予定利率は会社によって3.5%と、定額の「終身保険」に比べて高く設定されていますので、同じ条件で保険料を比較すると割安な保険料でお得ということと、特別勘定の選択次第で、インフレリスクへの対応も可能です。

専業主婦(主夫)の場合は、大黒柱が亡くなった後の必要保障額を生命保険で用意する必要があります。必要保障額については、「死亡保障はいくら必要?」にておよその目安は算出できますが、子どもがいないため、残された配偶者の生活費は1ヵ月いくら必要なのかにスポットをあてて試算してみましょう。結婚したら、2,000万円~3,000万円という高額な生命保険の加入を考えがちですが、生活費は本来、毎月の給与から捻出していますので、1ヵ月単位の金額を基準にして考えます。さっそく、4つのステップで残された配偶者が必要な生活費を算出してみましょう。

STEP1:1ヵ月に必要な生活費の計算

現在の生活水準をもとに、残された配偶者が1ヵ月どのくらいの生活費を必要とするかを見積もります。残された配偶者の状況や考え方によりますが、まずは、「現在の住まいが持ち家か?賃貸か?」、「万一の場合、実家に帰るか?帰らないか?」を確認することがポイントです。どちらも後者の場合は、家賃分を含んだ生活費になり、ひとつでも前者である場合は、家賃分を差し引いた生活費となります。また、子どもが生まれることを想定して、残された配偶者の安心できる1ヵ月の生活費を見積もる場合もあります。

STEP2:収入見込額の計算

遺族年金などの公的保障、残された配偶者の収入を見積もります。

STEP3:生命保険で用意する金額

STEP1と2の結果から不足する額が算出でき、不足額が生命保険の保険金額となります。

STEP4:生命保険はいつまで必要か? 

生活費は本来、毎月の給与から捻出していますので、必要な保険期間は、大黒柱がいつまで働く予定かと同じ期間が目安となります。60歳や65歳というのが一般的です。





不足する生活費を用意する場合の生命保険は、限られた期間の保障を手厚くできる「定期保険」が適しています。ただし、一定期間、一定の金額必要というわけではなく、大黒柱が亡くならなければ、生活費は会社からもらっているわけですから、必要保障額は減少します。そのため、「定期保険」で大黒柱が亡くなった時に、保険金を一括してもらうのではなく、定期保険の1つで、毎月一定額の保険金を分割してもらう「収入保障保険」が最適です。



妻の医療保障として、特に妊娠・出産の可能性がある20代~40代は、医療費の経済的リスクを補う「医療保険」に早めに加入しておく必要があります。正常分娩は保障の対象外ですが、妊娠・出産にまつわる症状(早流産、子宮外妊娠、帝王切開、妊娠中毒症等)は保障の対象です。妊娠が判明した後で医療保険に加入しようとした場合、一般的な保険会社は27週目までは加入が可能ですが、加入後1年は保障しない条件付き加入となり、今回の妊娠には保障が適用されないケースがほとんどですので、注意しましょう。妊娠・出産による入院・手術は、通常の「医療保険」の保障対象であり、「女性向けの医療保険」に加入していなくとも給付金が支払われますが、「女性向けの医療保険」に加入することによって、保障が上乗せされ、女性特有の病気に限定しているため、通常の医療保険の入院日額を増額するより、保険料を抑えられるというメリットがあります。妊娠・出産の可能性がある20代~40代は保障内容を手厚くし、出産年齢が過ぎたら保障内容を削減する、という考え方をベースにすると、「女性向け医療保険」の合理的な加入につながります。
また、一生のうちがんと診断されるのは、女性は約2.5人に1人の確率といわれています。「医療保険」でもがんへの保障はありますが、入退院を繰り返したり、入院が長期化すると保障対象にならない場合もありますので、「がん保険」も並行して検討しましょう。

夫の医療保障は、価値観に合わせて組み合わせて加入すると合理的です。「医療保険」のコストパフォーマンスを上げるには、基本的な保障内容の1つである“入院給付金”の保障日額を最低限に抑えたうえで、“先進医療特約”を付加することです。つまり、“先進医療特約”の給付狙いをメインテーマにすることです。
また、一生のうちがんと診断されるのは、男性は約2人に1人の確率といわれています。「医療保険」でもがんへの保障はありますが、入退院を繰り返したり、入院が長期化すると保障対象にならない場合もありますので、「がん保険」も並行して検討しましょう。
子どもがいない夫婦で、家計に比較的余裕がある場合は、掛け捨ての保険である「がん保険」の代替案として、三大疾病であるがん・急性心筋梗塞・脳卒中により所定の状態になったとき、生前に一時金が受け取れる「特定疾病終身保険」があります。1カ月あたりの保険料は高めになるものの、約3人に2人が三大疾病で亡くなる時代で、三大疾病にならなければ、通常の「終身保険」として活用できるということ、解約しても支払保険料の8~9割が戻ってくるという保険は、取りっぱぐれの少ない保険の一つといえるでしょう。

また、子どもがいない夫婦で、経済的リスクが少ない場合は、「個人年金保険」といった資産形成の機能を持つ保険を上手に活用することも大切です。特に、共働きの場合、それぞれの所得から税金(所得税)を収めることになります。税金額を計算するとき、税率を掛けて算出するのですが、得た所得の全部(総所得額)にいきなり税率を掛けで税金額を決めるわけではありません。総所得から、いろいろなものを差し引いてくれます。この差し引く分を「控除」といい、所得控除と税額控除に分けられます。所得控除は、所得から差し引く控除のことで、控除が多い分、課税される所得が減り、税金額も安くなります。その中の1つに生命保険料控除があります。生命保険料控除には「一般の生命保険料控除」、「介護医療保険料控除」、「個人年金保険料控除」の3種類があり、所得税だけでなく住民税も軽減されます。個人年金保険料控除は年間の保険料が8万円を超えると控除率が一律になるため、月々7千円前後の保険料に抑え、個人年金保険料控除狙いでの加入を検討しましょう。
「個人年金保険」のような貯蓄性のある保険は、中途解約すると不利になるのが一般的で、必要なときにすぐに換金できません。ですが、月々の保険料というかたちで、毎月口座から自動的に引き落とされ、途中で現金化したくなった場合でも“今、解約したら損”という縛りをつけることが継続の原動力になります。つまり、「個人年金保険」は強制貯蓄の有効策にもなりうるのです。

ここがポイント!

結婚したときの経済的リスクは、就職したときとほぼ変わらない医療保障ですが、配偶者に対する責任から、生命保険にしかないメリットを活用するために死亡保障も検討しましょう。また、貯蓄が苦手な方は、老後保障に資産形成の機能をもつ保険を上手に活用しましょう。

(2015.8.27公開)  

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