苦戦を強いられた2014年の日の丸太陽光発電

太陽光発電は、住宅用をはじめ、ミニソーラー、メガソーラーと展開していて、さぞかし太陽光発電関連メーカーは好景気だと思いがちですが、実はそうでもないようです。

太陽光発電協会の発表によりますと、2014年度の国内太陽電池モジュールの総出荷量は9872MWで前年度比14％増を記録していますが、日本企業だけの2014年の出荷量は6766MWで、前年比12％増にとどまりました。販売価格が低下しているので、総出荷金額は前年を割り込んだとも見られています。

具体的な数字をあげますと、日本国内の太陽光パネルの出荷量は、9,872,006kWで、日本のメーカーの出荷量はこのうちの6,766,454kWですから、3,105,552kWは海外からの調達ということになります。

つまり、全体の約3分の1は海外の太陽光パネルなのです。

この数字から分かることは、国内の太陽光発電メーカーは2014年度は軒並み減益減収傾向であり、苦戦を強いられた1年であったと言えます。

ただし、太陽光発電システムの施工件数は伸びていますから、パワーコンディショナーウやパワーモニターなどの売上は好調に推移していると思われます。

しかし、太陽光パネル自体の売上が低調なので、太陽電池メーカーは、今後の方針として、太陽光発電システムと蓄電池などを組み合わせることで、システム全体の価格を引き上げる取り組みを強化するとしています。

最大手と目されるシャープを例にとりますと、同社は国内では太陽光発電関連の構造改革をおこなうと同時に、海外でのさらなる成長を目指しています。

シャープの15年3月期の太陽光発電関連の売上高は、エネルギーソリューション部門全体で前年比38.3％減の2708億円と落ち込み、営業利益は50億円の赤字でした。

しかし、同社では、太陽光発電は国内の産業用需要の低迷が続くものの、引き続きエネルギー関連市場のポテンシャルは大きいと判断し、2015年度以降は、パネル事業の構造改革を進めると同時に、ソリューション事業と海外事業の拡大を図る方針を打ち出しています。

すなわち、国内では太陽光発電と蓄電池をベースとするHEMS・省エネ家電・エコキュートなどをクラウドでつないだソリューションを提案していくとしています。

海外では各地域に合わせたエネルギーソリューション事業を展開し、アジアではEPC（設計・調達・建設）事業やPV―ディーゼルハイブリッド事業を、米国ではピークカットシステム、欧州では太陽熱を活用するPV―T（サーマル）システムの展開を強化していくとのことです。

このような事例はシャープだけではなく、国内の大手とされる太陽光発電メーカー全体に共通したことで、住宅用太陽光パネルはかろうじて国内製品が売上の多くを占めていますが、産業用となると国内製品は売り上げの半分強に止まっているのが現状だと言えます。