- 横山 彰人
- 株式会社横山彰人建築設計事務所
- 建築家
対象:住宅設計・構造
一つは、極力家族の気配が感じられる、限りなく一室空間に近い間取り。必ずしも厳密に一室という意味ではなく、話ができたり、窓から灯を確かめられたり、微かな生活音が聞こえてきたり、つまり、姿が見えなくとも視覚や聴覚で知らず知らずに交わすコミュニケーションができる間取りです。
二つめは、家族団欒の場であるリビングルームやダイニングルームを住まいの核とし、ここを中心に、各部屋や浴室、洗面所といったサニタリー部分が立体交差のように枝分かれする生活動線を設定すること。これによって、リビングルームをテレビルームとするのではなく活性化させ、この中心点から家族がいつも視野の中に入るようにします。
テレビを見る、新聞を読む、ゲームをする。さまざまな行為をリビングルームの空間で行うことができ、更にその場を通らないと各部屋へ行けないという工夫が必要です。
さらに、しつらえは、ソファーの四点セット一辺倒ではなく、今までの生活の延長として考え、座卓にしてみる、掘りゴタツにしてみるなど、家族にとって一番ふさわしい形を選択することも大切です。例えばソファーにする場所でも、置き方は、対面型よりもL型に配置した方が部屋の広がりが出ますし、会話をする場合も、対面型より緊張感も少ないはずです。
こうした細かな積み重ねをしていけばいくほど、その家族にとっての理想の間取りに近づいていくのです。リビングルームという''住まいの重心を明確にする''ことが、プランニングにおいて大事なことです。
次回につづく・・・
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