ナンバーズ　7　月のような人が輝く時

太陽のような人
月のような人
抽象的な意味合いですので、それぞれの方のイメージによるものですから、意味合いを厳密に分類してカテゴライズするつもりもありませんが、なんとなくありますよね。

海外サスペンスドラマ「ナンバーズ」では、天才数学者チャールズがあたかも華も才能もある「太陽のような人」で、
そのチャールズに助けられながら事件を解決して行くFBI捜査官の兄のドンが、地味な「月のような人」
のように描かれているなぁと思った事から、このブログを書いています。
「ナンバーズ　2　月のような人、太陽のような人、どっちが得？」も合わせてお読み頂けると幸いです。


私は、自分では「月のような人」かなと思ったりします。

分かりやすく言ってしまえば「華」があるわけでもなく、ほって置いても人が集まってきて輪の中心にいるような人でもありません。

無愛想なわけでもないけど、そんなに社交的なわけでもない。

そんな私からすると、なんであの人はあんなに輝いて見えたり、人気があったりするのだろう？と思うような人がいて、ちょっと羨ましく思ったり、自分の引っ込み思案なところを、恨んだりするわけです。


「太陽のような人」はなんて得なんだろう。それに比べて、、、。


しかし、そんな「太陽のような人」も「太陽のような人」なりのコンプレックスや悩みがあるのは、経験を積んだり、客観的になってみればわかるものです。

太陽のような人は、それだけ目だってしまうし、目立つと言う事はいつも他人の目が付いて回るので、周りがほおって置いてくれず、気軽に振舞えなくなったり、人に頼られてしまったり、背負いたくも無い期待や責任を背負わされてしまったり、反動で敵も作ってしまったりして、それはそれで自由が奪われてしまったりするでしょう。


一番わかりやすい例は、芸能人の、特にアイドルのような方々でしょう。

よく子供のときから子役やアーティストとして成功してしまうと、大人になってから不遇な運命をた辿ってしまったりする例はありますよね。
国民的な英雄である長嶋茂雄さんも、未だに太陽のような人でありすぎるあまり、孤独であることが許されず、人知れぬご苦労を抱えておられると言う事を、本などで読む限りあるようです。

「隣の芝生は青く見える」と言います。うまいことわざだなぁと思います。


そうした意味では、「どっちが得かというと、どっちとも言えない」という、まぁ、ありきたりの結論となってしまいます。




小学生だったころ、私に希望を与えてくれた漫画がありました。
それは手塚治虫先生の「ブラックジャック」の「六等星」という1話です。

次期院長を誰にするかで二人の候補が争っている真中病院。
しかし名誉が欲しい権力欲剥き出しの二人の候補と同じキャリアを持つ、もう一人の医師がいた。
椎竹医師だ。彼は医師としての素晴らしい技術と人間性を持っていたが、権力欲だけは持ち合わせていなかった。
ただひたすら、地味に、黙々と医療に専念するだけです。
B・Jは夜空の六等星のように目立たない椎竹医師のために陰から力を貸すことに。
結局「太陽の様な存在」でありたい2人の候補者たちは、お金の力で賄賂など送って票を得ようとした事が発覚し、自滅してしまいます。
病院では、実力者2人がいなくなってしまった事で途方に暮れますが、そんな時B・Jが
「最高の適任者がいるじゃないですか、そこに」と椎竹医師を指差した時、人々はやっと椎竹医師の存在と、その価値に気付くのです。
コツコツと自分にできる事をしていれば、いつか報われる時が来るものだと、そんな風に思えて支えとなってくれた漫画でした。

でもこの話、ストーリー自体、特に難病が出てくるわけでもないし、B・Jが活躍するわけでもないので「地味な話しだよなぁ」と思っていたのですが、このブログを書く為に検索していたら「ブラックジャック40周年アニバーサリー　全231話の中から読者の投票で、人気があるストーリーを選ぶ」という企画があって、なんと堂々の481票で第2位を獲得していました。


まさに「地味で目立たない」ような話だと思っていたこの１話が、実はみんなから愛されていたのです。
「マジかっ！？」と、ちょっと感動してしまいました。

きっと多くの人が、私と同じように、この話に希望や生きる道しるべを見出していたのかも知れませんね。

ちなみに第1位は、B・Jがまだ若かりし日の初恋にして悲恋を描いた「めぐり合い」という作品でした。これも心に残る話です。





カウンセラーとして、人の悩み事を聞いていると、

1.「太陽のような人」なりの背負わされた荷物の重さ2.「月のような人」なりの理不尽なくやしさ
と言った想いのご相談はもちろんのこと、

3.「月のような人」に生まれたのに、親に「太陽のような人」として生きる事を期待されてしまい、本来の自分らしさから外れた生き方を要求されて苦労されている方
4.「月のような人」に生まれたのに、「太陽のような人」として生きる事に憧れ、何とか「太陽」になろうとしてがんばってしまい、本来の自分らしさを否定して生きようとされて苦しい思いをされている方
というお悩みの方がおられます。


この中で、特に悩ましいく、カウンセリングで解決できにくいのは、やはり4番のような想いをお持ちの方です。
これは、「治る」「治らない」という問題ではなく、自分の生き方の選択次第なわけですし、なかなか他人が「月」なら月の生き方で良いじゃないか、と言ってもご本人が納得できなければ意味がないからです。
ご本人は向上心にも溢れていたりするわけですから、「自己啓発本」なども読んで、その通りになろうとがんばっているのですが、そう思い通りに「今の自分ではない、理想の自分」にはなれないものです。
「吾足唯知（われ、ただ、たるをしる）」という言葉があります。京都の龍安寺のつくばいには、「吾唯足知」の4文字が中央の「口」の文字を中心に↓のような感じで刻まれているそうです。

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