- 石橋 大右
- 株式会社和上ホールディングス 代表取締役
- 大阪府
- 住宅設備コーディネーター
対象:住宅設備
- 松林 宏治
- (住宅設備コーディネーター)
- 松本 秀守
- (住宅設備コーディネーター)
再生可能エネルギーはいくつかあり、私たちの身近では太陽光発電がそのひとつで、既に住宅用の10kWh未満の太陽光発電システムを導入されているご家庭も数多くあります。
太陽光発電での電気の売電、電力会社による買取は平成24年度に始まったと言えます。それまでも売電制度はありましたが、正式に国が固定価格買取制度を発足させたのは平成24年度で、当初の売電価格は1kWh当りの単価が42円でした。これは儲かる!というのが当時の感覚でしたが、太陽光発電システムの価格が高い、あいにく自宅の屋根スペースが狭い、自宅の屋根の向きが太陽光発電に不向き、など諸々の理由で、太陽光発電システムの導入に二の足を踏んだ家庭も少なくありません。
ところが、この単価42円を設定した資源エネルギー庁は、翌年の平成25年度には、太陽光発電システム機器の価格が下がったという理由で、売電価格を一挙に38円まで引き下げました。
ただし、当初も次年度も有効期限は10年ですから、初年度に太陽光発電を導入した場合は平成33年度一杯までは単価が42円で、翌年度に導入した場合は平成34年度までは38円が継続されます。
年が変わり、平成27年(年度では4月1日)度は、と言いますと、この売電価格がさらに1円安くなり、37円になるのは、ほぼ確実です。ちなみに、10kWh以上の非住宅用(産業用)は、これまでの単価32円から、一挙に6円引き下げられて1kWh当り26円になりそうです。
実は、太陽光発電は住宅用とは別に太陽光発電ビジネスとしての潜在性がかなり高いと言えます。例えば発電量を50kWh~100kWh/1日としますと、以前の全量固定価格買取では単価が32円ですから、単純計算では1600~3200円/1日で、1ヵ月(実働25日間)だと、4万円~8万円になるので、一応スモールビジネスとして成り立つのです(ただし投資金額回収期間は含まず)。
身近な住宅向け太陽光発電の売電価格は36円になりますが、引き下げは1円ですから、それほど大きな差は無いと考えられます。だからと言って安心していられないのは、今回はこのように小幅な引き下げに留まっていますが、これが、次年度の平成28年度になると、さらなる引き下げがあるのは必至です。
つまり、太陽光発電の売電価格はじわじわと下がり続けるのが目に見えています。
一方で、確かに太陽光発電システムの機器類の価格は従来よりも安くなっていて、出力効率はアップしています。
しかし、安くはなったと言ってもお小遣いで太陽光発電を設置できるわけではありません。
太陽光発電導入にはソーラーローンを組むということに変わりはないのです。
そうなると、更なる引下げで、大幅に売電単価が下がると、売電収入でソーラーローンを返済し、なおかつ利益を確保することが難しくなりそうです。
つまり、従来からの、売電で電気代をチャラにして、なおかつある程度の収入を確保するというメリットが無くなる恐れがあります。太陽光発電はクリーンで環境保全に役立つということでは、今も今後も同じですが、それはそれ、これはこれです。
さらに、今回の6円という大幅引き下げが実現されると、個人あるいは少人数で太陽光発電ビジネスをはじめようとする動きが鈍るのではないかと懸念されます。
このコラムの執筆専門家
- 石橋 大右
- (大阪府 / 住宅設備コーディネーター)
- 株式会社和上ホールディングス 代表取締役
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