- 堀 紳一朗
- 忘蹄庵一級建築士事務所 代表
- 東京都
- 一級建築士
対象:リフォーム・増改築
- 木下 泰徳
- (アップライフデザイナー)
- 溝部 公寛
- (建築家)
「伝統工芸品を一般の方にも広く紹介し、更には地域の学びの場としてもらいたい」というコンセプトから、
和紙、染め物、鎌倉彫、漆の器、香などの手仕事の日用品を揃えるショップを1階に、展示会やワークショップが行えるギャラリースペースを2階に配置したお寺の直営施設を計画しました。禅寺のもつ凛とした雰囲気を表現するためモノトーンを基調とし、ショップのコンセプトに従い建物の各所で職人のもつ手仕事の技を生かし、また素材感のある材料を用いました。建物は築35年の住宅を改修したもので、エントランスを一坪増築し間取りを変更していますが、柱や梁・屋根などの既存の構造部材はそのままに基礎や壁面の耐震補強をしています。
エントランスの床は枯山水をモチーフにデザインした庵治石貼りを用いています。古材柱は柿渋塗りの欅と、草木染めの栗からなります。栗材は高松 栗林公園にある偃月橋の橋脚を転用しました。床の間・飾り棚・エントランスカウンターは和紙を墨で染めて泥を練り込む「さびどろ和紙」を、展示台には漉いた和紙を板干しにして杢目が転写した「板干し和紙」を、ギャラリーの窓には光を和らげるため「東慶寺紙」を貼るなど、各所に斐伊川の和紙を用いています。床の間天板とエントランスカウンターに用いている「さびどろ和紙」は柿渋で固めて耐久性を出しました。これらの和紙は店舗でも取り扱っています。
鋼材も職人の手仕事による仕上げです。エントランスの飾り棚、掲示板、階段には古色に焼いた錆鉄を、2階の展示台には黒皮仕上げを用い、これと同じ仕上げで製作したハガキ台やハガキ立てを店舗で取り扱っています。