落葉と道路冠水の関係――三鷹市から調布市にかけて激しく降ったひょうの現場リポート#02 - 住宅設計・構造全般 - 専門家プロファイル

上村 美智夫
PAO建築設計 代表
東京都
建築家

注目の専門家コラムランキングRSS

対象:住宅設計・構造

専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

落葉と道路冠水の関係――三鷹市から調布市にかけて激しく降ったひょうの現場リポート#02

- good

  1. 住宅・不動産
  2. 住宅設計・構造
  3. 住宅設計・構造全般
ひょうによる被害があったという三鷹市から調布市にかけてのエリアに実際に行ってみた。


木々の葉が激しく降ったひょうによって大量に落とされ、道路の端や側溝の排水口(取水口)の
グレーチングの周囲などに溜まっていた。色もまだ多少緑色がかっている。



調布市仙川町2丁目


枝に残っている樹木の葉も、だいぶひょうによって落とされたのではないだろうか、梅雨の頃の青々
として、ふさふさと滴るような葉の重なりではなく、葉の間から空がだいぶ透けて見える、あの秋の
頃のような様子に近いと思えた。



京王線仙川駅


今回のひょうによる被害の原因のひとつに、このひょうによって落とされた、大量の落葉があるの
ではないだろうか。

テレビの映像などでも、遠目に見れば確かに白い雪のように見えていたが、時々映るアップの映
像には、青々とした葉が混じっている様子が映し出されていた。

道路に、なぜこれほどまで大量に雪のように白く積もるのかが、不思議でならなかった。30~40
㎝はあるように見えた。
東京にも、年に2、3回程度は雪も積もることはあるが、そのほとんどはせいぜい、10~15㎝程度
が主であろう。
ましてや除雪の為、雪国でもあるまいし、重機までもが出動するようなことは、今までになかった
と思う。

今回のこの被害の原因をはっきりとひとつに絞り込むことは、比較的短時間の間の出来事でもあり、
難しいことであろう。それは、様々な要因が複雑に重なり合っている事も十分に考えられるからであ
る。そんな思いでいた中、ニュースで時々チラッと語られていた、落葉のことを思い出した。

現場に行ってみると、道路や歩道の端、駐車場などの空き地の隅に、落葉が吹き溜まったように
堆積しているカ所をいたるところで目にした。



三鷹市中原1丁目


住宅街の中は、お互いに自宅の前はきれいにするという住民同士のネットワークがあるようで、
既にきれいに片づけられており、袋に詰められた落葉が、玄関先に積まれていたりする。



三鷹市中原1丁目


今だ落葉が残っているのは、住宅街ではなく、駅周辺や幹線道路沿いの会社や商業施設の周辺
に多いことに気が付いた。

道路に降ったひょうは、やがて道路の両側の側溝に集まり、その取水口より水と共に放流される
ことになる。
この道路、側溝の取水口部分に残っていた落葉を見て、ニュースでも語られていた、大量の落葉
が道路の取水口をふさいだことで、水が流れなくなったことも、道路が冠水した原因のひとつと
思われる。

道路が冠水すれば、ひょうは浮くであろう。そして、より低い方へと坂道を一気に流れ下ったの
であろう。
三鷹市中原1丁目の映像は、このように道路が冠水したことにより、周囲より集まって来たひょうが
溜まった結果であろう。ニュースでもごく狭い、限られたエリアでの出来事であると伝えていたのは、
そのことであろう。

雪ならば、解けるのも遅く、樹木の葉を落とすこともない。よって、道路の取水口を詰まらせ、冠水
させる危険性もはるかに小さいだろう。また、雪がひょうのように道路上を移動して、低地の1ヵ所
に集まるということも起きない。

このあたりが今回のひょうによる被害の大きな特徴のひとつでもあり、そして、その対策のポイント
となろう。

道路を冠水させない為のヒントになりそうなものを、行政の案内の中に見つけた。



大雨が降ってきたら (調布市発行 http://www.city.chofu.tokyo.jp/www/contents/
1183592386922/index_k.html) より一部抜粋



日ごろからの心得・準備 (調布市発行 http://www.city.chofu.tokyo.jp/www/contents/
1183592386922/index_k.html) より一部抜粋


ゲリラ豪雨などの際には、道路は冠水しやすいものと考えて、その際は道路より宅地内に水が
侵入することを、出来る限り防ぐ、あるいは、その量を可能な限り減らすことは有効なことであろう。
道路が冠水している時間は、そう長くはないと考えて、その間を何とかやりしのぐのである。
道路の取水口を掃除するなどして、早く水が引くのを促せば、更に有効であろう。

水の侵入を防ぐ場合に何が効果的かと考えた時に、その方法のひとつに、「土のう」があろう。
これは特別な工事などは必要としないし、誰でもその気さえあれば準備できそうな備えである。
各宅地に必要な分量を準備しておくことは、今回のひょう被害の教訓を生かした、今後の備えの
ひとつとして有効ではないかと思われるし、気持ちの持ちようの上でもいくらか効果があるので
はないだろうか。



日ごろからの心得・準備 (調布市発行 http://www.city.chofu.tokyo.jp/www/contents/
1183592386922/index_k.html) より一部抜粋



三鷹市浸水ハザードマップ 第3版【全体】(三鷹市発行 http://www.city.mitaka.tokyo.jp/
c_service/034/034182.html)より一部抜粋


ネットで見つけた、その他の参考になりそうな情報して。
■土のうの作り方等(PDF:526KB、岡山市役所)
www.city.okayama.jp/contents/000150862.pdf
ひも御内側を. 下から上に. 土のうの作り方. (ひも重. * 土のう袋を用意します。...

■土のうの作り方、使い方 - YouTube
www.youtube.com/watch?v=0n2hzkVZ1W4
2012/06/01 - アップロード元: 神戸新聞社(kobedigital)
河川の増水が心配される梅雨や台風シーズンを前に、丹波市消防本部は6月上旬、土のうの作り方、積み方などを住民に説明する。


上村 美智夫 / Michio Kamimura
PAO建築設計
  http://www2.gol.com/users/paoarchi/  E-mail  paoarchi@gol.com

このコラムに類似したコラム