- 杉浦 繁
- Atelier繁建築設計事務所 代表
- 愛知県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
たかが階段されど階段・・3
建築を志す者にとって空間把握能力というのは非常に重要です。
平面図と立面図を見ただけで頭に中にその形を作り出さなければなりません。
逆に頭の中に創造した形や空間を図面にしなければなりません。
この訓練はけっこう大変なのです。
学生が学校で初めて設計演習なんかを行うと・・
まず誰しもが最初にぶち当たるのがこの難関なのです。
プラン・間取り・平面・・
これは簡単です。
スケッチしたりして線を引いてここが居間でここが便所と。
が・・
上下階のつながり、これが難しいのです。
ここの上が何の部屋で、ここの柱に梁がかかり、そこにこの部屋が来る。
特に・・
そう階段です。
ただ直階段を上がるだけならまだしも・・
講師の先生はそんな簡単なことは決してやらせてはくれません。
ここから上がりだしてここに上がりきる。
ここで曲がってここで折り返す。
そしてその設計評価の時・・
「この階段上ると便所の中に出るな・・」
としたり顔で言われることになります。
たまに、というか?
笑い話ではなくて、けっこうよくあることなのですが・・
こんな階段が現実の住宅などに出来てしまうことがよくある。
訓練をろくにつんでいない若造が設計した家とか・・
一番多いのが住宅メーカーの建築のケの字も知らない営業マンが適当にスケッチして決まった家など。
4号申請の住宅などだと確認審査官もろくに細かく見たりしないのです。
そもそも構造審査は緩和されてありませんので梁がどこにあるかなんて審査官にはわかんない。
で・・
工務店が困って相談に来るわけです。
「せんせい・・」
「この階段、途中に梁があって上がるとぶつかって上がれないんです」
「もう上棟終わって梁かけちゃっていてどうにもならないんですが梁取ってもいいでしょうか?」
いいわけないだろ・・
馬鹿なこと言ってんじゃない!
正直、プランを変更しないとどうにもならなりません。
お馬鹿な営業マンはお客さんと打ち合わせしたとおりに絶対建てろの一点張り・・
まあ・・
俺の設計じゃないし勝手にしたら?
ってな具合に・・・。
・・・だってそんなアホなん知るかいな。
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