前回に引き続き「バレリーナの姿勢の良さは何から来るのか?」のご講義です。(笑)
バレリーナの姿勢が良い秘訣に "背骨を垂直に意識して立つ" というのがあります。これは尾てい骨から首の後ろの骨までを縦に垂直に立てる感覚です。
普通人間の身体の背骨は "Sの字" にカーブしていますが、バレエは足を付け根から180度開脚する為に、首の後ろの骨の垂直のライン下に尾てい骨が来る様に骨盤を縦に起こすのです。それと同時に上半身を引き抜く様に上に引き上げます。
そして背中の肩甲骨を寄せる感じに胸を張るので、姿勢が縦に真っ直ぐになり美しい姿勢になるのですね。
バレリーナは膝の裏側がトレーニングで良く伸びていますから、それだけでも足が長く見えますね。
(日本人の方は元々姿勢が悪い方が多い様にお見受けするのですが、それはこの膝の裏が縮こまっているのも大きな原因です。膝の裏が伸びていないとハイヒールなどを履いた時など、歩き方が非常にカッコ悪く見えてしまいますから、女性の皆さん意識致しましょう!?(笑))
そしてそれに加えて足を開く事で、バレリーナは足をお尻の後ろから使う様になり(身体の裏側を使う)、人間の持つ一番長いラインで足を動かしているので、歩き方が綺麗に見えるのだと思います。
又足を開く事で身体の表と裏を意識する様になり、首の後ろを立てる事により背中を意識する様になるので、その隙の無い動作や所作が、あのバレリーナ独特の雰囲気を醸し出しているのでしょう。
又、首の後ろと言うのは "品格" が表れる場所なので、歩く時は首の後ろを起こし上に引き抜く様にされると、それだけで所作が美しくなるのではないかと思います。
あとは前回お伝えした "丹田" (臍下三寸)に意識を集めて、そこを身体の動きの中心にされると良いのですが、この感覚ばかりは文字でお伝えする事はとても難しいのですね~。(笑)
でも歩く事に限らず身体で何か作業をする時は、その丹田の場所をご自分で絶えず意識する事により感覚が芽生えて来るかもしれないですね。
良く「腹が据わる」とか「腹が決まる」とか言いますが、あの "腹" は丹田の事を指しているのだと思います。
丹田は肉体だけではなく、精神的にも影響を与える人間の身体の中心部分なので、そこを強化すれば歩き方含めた所作が美しくなるのではないかと思います。
(私が現役の時の写真 パート3)
「眠れる森の美女」より オーロラ姫 (こちらの衣裳も私の手作りです♫)
(足の付け根から膝の方向を180度外に向けて開脚する事により、前から見ても後ろから見ても同じ足のシルエットになるのが、バレエ的には理想のラインになります)
このコラムの執筆専門家
- 大園 エリカ
- (東京都 / クラシックバレエ教師・振付家)
- 舞踊家(クラシックバレエ) 元プロバレリーナ
natural & elegance
長年プリマとして国内外で活躍。現役引退後は後進の指導とバレエ作品の振付けに専念。バレエ衣裳や頭飾りを作り続けて得たセンスを生かし、自由な発想でのオリジナルデザインの洋服や小物等を作る事と読書が趣味。著書に「人生の奥行き」(文芸社) 2003年