Blog201405、金融法 - 民事家事・生活トラブル全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
弁護士

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Blog201405、金融法

・『弁護士専門研修講座 金融商品取引法の知識と実務』
・十市 崇『金融商品取引法の諸問題』
・小塚 荘一郎『支払決済法』
・松本 恒雄『電子商取引法』
・『アメリカ法判例百選』有斐閣、2012年


・銀行に対する金利スワップに関する損害賠償請求訴訟として、下記最高裁判決は、いずれも損害賠償請求を認めなかった。
最高裁第1小法廷判決平成25年3月7日
損害賠償請求事件
裁判集民事243号51頁、判例タイムズ1389号95頁①事件
最高裁第3小法廷判決平成25年3月26日
損害賠償請求本訴,受払金請求反訴事件
裁判集民事243号159頁、判例タイムズ1389号95頁②事件


『弁護士専門研修講座 金融商品取引法の知識と実務』
ぎょうせい、平成26年、本文約340頁。
上記書籍のうち、以下の部分を読みました。
Ⅰ 金融商品取引法の構造と会社法との交錯
 おおむね参考にはなったものの、以下のとおり、数か所、多大なる疑問を覚えた箇所があった。
・「新発」との記載は「新規発行」とすべきである。
・「既発」との記載は「既発行」とすべきである。
・金融商品取引所の市場の内外を問わずに、大量取得・保有報告制度(5%ルール)は適用される。
・MBO(マネジメント・バイアウト)とLBO(レバレッジド・バイアウト)は同義ではない。
・原則として損失補てんは禁止されているが、例外的に、証券会社が債務不履行した場合など「証券事故」の場合、監督官庁の承認を得た上で、証券会社が損失補てんを行う制度が認められている。
Ⅲ 不公正取引と課徴金
 インサイダー取引、相場操縦等の金融商品取引法上の不公正な取引と課徴金についての解説である。
 平成4年から平成15年までの不公正取引の一覧表は参考になるが、なぜか平成16年以降の部分がない。
 インサイダー取引の対象である「重要事実」に関して、当該会社が借入金の債務不履行して遅延損害金が発生し特別損失に計上することが該当する点については、論者は、「損害」ではないと指摘している。しかし、当該会社が債務不履行して遅延損害金まで発生させ、かつ、通常、約定利率より遅延損害金の利率のほうが高率であるから、当該会社の経済的信用にかかわる重要な事実であることは当然である。論者はなにか勘違いされているのではないか。
 また、論者は、インサイダー情報を知った場合、情報受領者が2カ月も3カ月も当該会社の売買ができない不都合と指摘されている。売買できないことは条文解釈上も当然のことで、実務でも、そのように運用されている。
 情報受領者は、第1次情報受領者だけでなく、第2次情報受領者を付記産む。この点、論者は間違えている。


十市 崇『金融商品取引法の諸問題』
商事法務、2012年
上記書籍のうち、以下の部分を読みました。
第Ⅳ章 M&A・コーポレート関連
第7講 公開買付代理人の法務
おおむね根拠条文が記載されているが、数か所、定義・根拠条文なしにテクニカルタームを使っている点が気になった。
また、比較的長い論文なので、細目次を論文の冒頭に掲げた方がよいと思われる。
ただし、発行者による公開買付は対象とされていない。
インサイダー取引等の場合の課徴金、刑罰の場合の没収、証券会社が公開買付代理人の辞任の可否・方法、利益相反となる場合、チャイニーズ・ウォールに関して言及がない。

小塚 荘一郎『支払決済法』
商事法務、2014年、本文188頁。
法科大学院生、会社員、起業家向けに執筆されたようである。
小塚 荘一郎『支払決済法』
商事法務、2014年、本文188頁。
法科大学院生、会社員、起業家向けに執筆されたようである。
試験準備に便利な論点表付き。
上記書籍のうち、以下の部分を読みました。
第2章 電子マネーとデビットカード
1 電子マネー
2 プリベイド・カード
3 デビット・カード
 電子マネー等が、原因行為に瑕疵がある場合(例えば、金額の打ち間違い、販売店の不正等)であっても、支払決済に影響を与えない(無因説)は間違いではないかと思われる。
 また、無因説を取る場合であっても、利用規約(約款)により、上記のような場合には、利用者が救済される余地があると思われる。


松本 恒雄『電子商取引法』
勁草書房、2013年、本文約489頁。
上記書籍のうち、以下の部分を読みました。
非常に詳しい良い本である。
第1部 総論
第2部 (ビジネスモデル別の)各論
第9章 インターネット通販
1 インターネット通販の実情と取引の特質
コンピュータ用語を定義なしに用いることに疑問を覚えた。その反面、細かい技術的手段の違いにこだわることにも、疑問を覚えた。例えば、契約成立の意思表示の局面で、人間の知覚できない隠し画面・メタタグ・遠隔操作・フィッシング等でない限り、HTLMとSMSとの違いには、法律的には、それほど区別する実益がないと思われる。
2 インターネット通販と契約
 消費者契約法、電子消費者契約法、未成年者取引(民法)
3 インターネット通販の法規制
 特定商取引法、割賦販売法

『アメリカ法判例百選』有斐閣、2012年
 アメリカ合衆国の証券取引法、SEC(連邦証券取引委員会)規則は、日本では金融商品取引法に相当する。
上記書籍のうち、以下の部分を読みました。
121 「市場における詐欺理論」による信頼の推定(レビンソン事件)(連邦最高裁)
122 インサイダー取引責任の範囲の拡大(オーガン事件)(連邦最高裁)
124 証券取引法の域外適用(モリソン事件)(連邦最高裁)