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閲覧数順 2016年12月04日更新

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斑鳩の里:中宮寺

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              中宮寺如意輪観音の話

 法隆寺東院(夢殿)の裏側に、まるで法隆寺に抱かれるように、

秘めやかに控えている中宮寺の門前は、辺りがひときわ深閑としています。

 中宮寺は、門跡尼寺(もんぜき にじ)です。 門跡というのは、御門(みかど)の跡という事で、

皇族または宮家の  お一人が、住職となるべき寺院のことです。


 庭を横切り、本堂にあがり自分は、有名な半伽思惟像(はんか しゆい ぞう)  のお姿に再会して、

そのお顔を再拝しました。

  深い瞑想のお姿です。うっとりと半ば閉じられたお眼は前方に向けられ、

しみじみと優しい眼差しで、自分に語りかけてくれているかのようです。

やや、うつむき加減になっていることで、参拝者との会話の姿になっているからなのでしょう。 


 うわまぶたの線はゆるやかに波うって瞑想的な伏し目をつくり、唇は両端がかすかに上がって、

いかにもやさしい笑みをたたえています。 

なだらかな曲面によって形づくられる頬には、たいそうおだやかな表情があらわれています。


 この観音様は、台座に腰掛けて右足を左の膝の上にのせ、

それをしずかに抑えるごとく左手がその上に、おかれております。 

此のきっちりと締まった安定感が私の心を鎮めてくれます。

  右腕の方は、ゆるやかに曲げて指先が軽く頬にふれています。

指の一つひとつが花弁のごとく繊細ではありますが、手の全体は、

ふっくらとして豊かな感じに  あふれ、ふるいつきたくなるほどです。

 そして、頬に浮かぶ ほほえみ は指先がふれた刹那 

おのずから湧き出るように自然そのもので、愛の表情が実際に動いて感ぜられます。 

156㎝の半伽思惟像のすべてが比類なき柔らかい線で出来あがっていますけど、

弱々しいところは微塵もありません。

指がそりかえった頑丈な足をみると、あふれでる生命を歓喜しつつ、

大地を駈けめぐった飛鳥の乙女を彷彿させます。


  自分は、ただ うっとりとして眺めつづけました。

こころの奥でしめやかに静かに慈愛の気持ちと云うものを味わうたのです。 

まことに至純な美しさで、また美しいとの言葉のみでは、云い尽せない神聖な美なのです。

 此の像は、一説には弥勒菩薩(みろく ぼさつ) とも言われます。

その名称や分類の詮索は別として、いささかでも日本の美術に興味を持ち、

古寺巡礼に心ひかれる人であれば、必ずといって良いほど、心をときめかせたに違いありまん。

   ”初恋の仏様 ”  といえます。


                                           2014年 春   中舎重之

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