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赤岩 経大
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閲覧数順 2024年05月01日更新

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<マタニティーのための健康知識>妊娠中は口の中の環境が悪化?!出産で歯がボロボロに?

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<このコラムの要点>

 昔は「子供を1人産むと、歯が1本無くなる」とか言ったそうですが、今月、東京医科歯科大学の研究者グループが「出産を重ねた女性ほど歯を失っている」という疫学調査の結果を発表しました。妊娠中は身体のさまざまな部分に負担や変調をもたらしますが、ホルモンバランスの変化などにより、歯周病や虫歯になりやすく進行しやすい状態になります。

 

※本コラムの要旨は2014年4月23日「専門家による時事ネタコラム JIJICO」に掲載されました。 http://jijico.mbp-japan.com/2014/04/23/articles9243.html

 

 

1.妊娠中は胎児を守るために免疫力が低下します。

 

 妊娠中は身体全体の免疫機能が低下します。これは母体から見れば異物である胎児を母体の免疫機能から守るために、免疫寛容といわれる免疫抑制作用が働くからです。口の中に限らず、普段よりも感染症にかかり易い状態になります。

 

ご婦人に多い口の中の病気”口腔扁平苔癬”をご存知ですか?http://profile.ne.jp/w/c-59238/

 

 

2.唾液の質が変化、分泌量が減少します。

 

 唾液には、ムチンという粘りを与えるタンパク質、アミラーゼという消化酵素、抗体や抗菌物質など、口腔内の恒常性の維持や浄化に関連する多くの成分が含まれます。妊娠中は唾液の分泌量が低下するため、汚れが溜まりやすく、細菌が増えやすい状態になります。

 

 

 また、エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンの分泌が盛んになり、 これらのホルモンを栄養源として好む歯周病菌が増える傾向が見られます。これらの女性ホルモンは歯肉(歯ぐき)などの末梢組織に対して血管透過性の亢進を促し、普段よりも歯肉が腫れやすくなります(妊娠性歯肉炎)。

 

 

 さらに唾液自体のphがやや酸性に傾き、むし歯菌が産生する酸を中和する働きが弱まるため、歯が溶けやすい環境になります。

 

 こうして妊婦さんの口の中は、虫歯菌や歯周病菌の増殖を抑える働きが低下し、彼らが活動しやすい条件が揃うのです。

 

口が渇く・・・ドライマウス(口腔乾燥症)が増加中!  http://profile.ne.jp/pf/yiida/c/c-131475/

 

 

3.つわりや生活面の変化が及ぼす影響

 

 妊娠したことによって、食事内容や睡眠、歯みがきの仕方などの生活パターンの変化が、口の中にも影響してきます。

 

 つわりのせいで度々口の中が酸性状態になること、味覚が変化し酸っぱいものを好んで食べるなどにより、歯が溶けやすくなること、歯ブラシを口に入れるのが辛くなり、歯磨きをおろそかにしやすいこと、一度にたくさん食べられなくなるので、間食の回数が増えることなど、全てむし歯を増やす原因になります。

 

 

 このように口の中の衛生状態に悪い影響を及ぼす変化がたくさんあるので、歯と歯ぐきにトラブルが多発するのです。また、妊娠中に歯や歯肉に異常を感じていても、出産後すぐに体調が回復せずに外出できない場合や、赤ちゃんに付きっきりでしばらく通院できずに悪化させてしまうこともあるようです。 

 

歯科医師から見た2型糖尿病と歯周病の関係性http://profile.ne.jp/pf/yiida/c/c-131473/

 

 

4.歯周病が胎児に悪影響を?

 

 最近の知見で「歯周病の妊婦は早産や低体重児出産のリスクが高い」とする調査報告もあります。

 歯周炎が進行し炎症反応が強くなると、歯肉の病巣から様々な炎症性物質が血液中に放出され、その血中濃度が上がることで身体は出産準備が整ったとみなし、子宮を収縮させ出産が早まると考えられています。

 

 メカニズムについてはまだ不明な点もありますが、大事な赤ちゃんへの悪影響も心配されますので、妊娠したらなるべく早期に歯科医院を受診することをおススメいたします。

 

 むし歯も歯周病も早い段階なら簡単な処置で済みますし、妊婦さんであっても安定期であれば大抵の歯科治療は安全に行えます。妊婦さん歯科治療の安全性については下記のコラムをご参照ください。妊娠中は他にもいろいろな不安や心配ごともあるかと思いますが、準備万端で出産に臨んでくださいね。

 

妊娠中の歯科治療で注意したいこと(1) http://profile.ne.jp/pf/yiida/c/c-57357/

妊娠中の歯科治療で注意したいこと(2) http://profile.ne.jp/pf/yiida/c/c-57409/

 

 

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