- 鈴木 克彦
- 株式会社マクス 代表取締役
- 建築家
対象:住宅設計・構造
さて、そろそろ完成に近づいてきましたが、ここで…
日本の住宅の一番の大敵は何か?
それはやはり 『高温多湿』 でしょう。
夏にジメジメと湿度が高く、冬は空っ風で乾燥、実はこの気候は世界的には稀。
アメリカでもヨーロッパでも、夏はカラッと、冬は雪も降り湿度も高い、これが当たり前。
木を腐らせる腐朽菌(簡単にキノコだと思って下さい)は、温度が高ければ当然活発になりますが、その際に湿度が高い日本では、木が外国よりも腐りやすい。
この腐朽菌達のお陰で森の更新が活発で、これだけ四季が美しい緑の国である訳ですが。
だから日本の住宅は、兼好法師が「住まいは夏を旨とすべし」と言っている通り、とにかく風通しを良くして腐らないようにしてきたわけです。
でも今の家は居住性を高めるために断熱材を沢山入れて、隙間を極限まで無くそうとしています。
これは、時代の流れで仕方のない事。
今さら隙間だらけの寒い家に住もうというのは乱暴な理論です。
とにかく腐りにくい家にする。
それは同時に白蟻にも強い家。
↑もちろん猛毒に頼っちゃ駄目ですよね。
その為の工夫をまとめてみましょう。
まず、室内の湿気は、吸放出性に優れた羊毛断熱材に頑張ってもらって、湿気は徐々に逃がせる様にする。
発生した湿気は、外壁の内側の通気層から放出。
通気層の空気は、外壁の一番下から入ってきます(壁の写真)。
軒先からも空気の取り入れ口を設け、屋根の焼ける空気も逃げられる様に工夫します(屋根の写真)。
そしてこれらの暖かく湿った空気は、軽いので、高いところへ高いところへと登り、家の一番高いところに設けた通気口から出て行きます。
実際この通気口に手をかざすと、春(写真撮影当時)の陽気でも、かなり暖かく湿った空気が
「もわぁ〜っ」
と出てきます。
でも、これだけやってあげれば、なんとか工法みたいなのにお金をかけなくても…、
と思う訳です。
そんな事にお金をかけるのであれば、もっと構造躯対にお金をかけるべきだと思います。
なお、ティンバーフレームについては、こちらもご覧下さい。