- 村田 英幸
- 村田法律事務所 弁護士
- 東京都
- 弁護士
対象:民事家事・生活トラブル
- 榎本 純子
- (行政書士)
不正競争防止法の差止請求権
(差止請求権)
第3条 不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
2 不正競争によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(侵害の行為により生じた物を含む。第5条第1項において同じ。)の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の停止又は予防に必要な行為を請求することができる。
差止請求権の要件
最高裁昭和42・4・11
一 旧不正競争防止法第1条による不正競争行為の差止請求をするには、当該行為につき不正競争の目的または不正目的があることを要しない。
二 旧不正競争防止法第1条による不正競争行為の差止請求として、特定商号の変更登記手続の請求等判示の請求をすることができる。
(注)この点は、不正競争行為について、差止請求権を定める不正競争防止法3条では侵害者に故意・過失があることを要件としていないことから明らかである。また、侵害者に故意・過失があることを要件としている損害賠償請求(不正競争防止法第4条、第5条)、信用回復の措置(不正競争防止法第14条)と比較すれば、条文上明らかである。ただし、混同防止表示付加請求(不正競争防止法19条2項)の場合には、侵害者に故意・過失があることは必要ではない。
営業上の利益を害されるおそれ(現行法では不正競争防止法3条)
最高裁昭和56・10・13、『商標・意匠・不正競争判例百選』108事件、マクドナルド事件
旧不正競争防止法1条1項1号にいう他人の商品との混同の事実が認められる場合には、特段の事情がない限り、右他人は営業上の利益を害されるおそれがある者にあたるというべきである。
(参照条文)
旧不正競争防止法1条1項1号
不正競争防止法3条1項の差止請求訴訟の管轄
最判平成16・4・8、『商標・意匠・不正競争判例百選』109事件、パイオニア貿易事件
不正競争防止法3条1項に基づく不正競争による侵害の差止めを求める訴え及び差止請求権の不存在確認を求める訴えは,いずれも民訴法5条9号所定の「不法行為に関する訴え」に該当する。
民訴法5条9号,不正競争防止法3条1項