たてもの園特別展第一部 「木造建築の魅力」 - 住宅設計・構造設計 - 専門家プロファイル

森岡 篤
有限会社パルティータ 代表
建築家

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対象:住宅設計・構造

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たてもの園特別展第一部 「木造建築の魅力」

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小金井の江戸東京たてもの園では、開園15周年記念として「日本の建物」の第一部「木造建築の魅力」が開催されています。

この展示の中で、おもしろそうな何点かを紹介します。

神社仏閣を中心として、日本の名建築の写真がキャプチャー付きで多数展示していますが、写真より模型、あるいは実物展示がおもしろいです。

展示室を入るとすぐに、代表的な材木:松、ケヤキ、ヒノキ、スギ材の丸太から切り出した実物が展示されています。
本物の木目、年輪、匂いを体験する事ができます。

木組みや継ぎ手を解説した文献はいくつかありますが、図よりも模型を見るのが一番わかりやすい。
原寸大実物の継ぎ手が何種類か展示されています。
釘などの金物や接着材を使わずに力を伝える先人の知恵とたぐいまれな技術で精密に作られた継ぎ手には、迫力があります。

神社仏閣に実際に訪れて、内外見学しても、通常天井などで構造体はわかりません。
浄土寺浄土堂は屋根を支える構造を意匠化した珍しい建物ですが、模型が展示され俯瞰することができます。

20世紀建築の巨匠:フランクロイド・ライトの建物は、残念ながら日本では2例しか残っていません。
この一つ、自由学園明日館ホールの窓枠が展示され、興味深いです。
形はライトのデザインでも、「つくり」は日本的なものです。

現代木造建築として、伊東豊雄、高松伸、内藤廣、藤森照信の模型が展示されています。
内藤廣の海の博物館の骨組模型は、骨組自体が美しいことがわかります。
藤森照信の家の模型は、無垢木材を切り出したブロック模型ですが、藤森の作風と模型の質感が調和しています。

たてもの園出口近くに、錦帯橋の模型があります。
橋のスパン(支持間寸法)は、使用している材木の長さよりはるかに長いのに、材木を幾重にも重ね、組むことで大スパン橋を構成していることがわかります。


展示室の広さから、量的にはややもの足りないものの、興味深い展示だと思います。
木造に興味のある方は訪れてみたらいかがでしょう。
この特別展のみならず、たてもの園本来の建物が見応えがあります。
次回より、これらについてお伝えします。
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