労働時間該当性 - 民事事件 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
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労働時間該当性

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労働時間該当性

 

1、労働基準法の労働時間

労働者が使用者に対して残業代などを請求する場合、実労働時間により計算して請求するが、労働者が主張する労働時間が、労働基準法にいう労働時間といえるかが問題となる。

労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいう(指揮命令下説)。

労働者が就業を命じられた業務の準備行為等を事業場内で行うことは、労働時間に含まれる。

また、労働者が勝手に業務に従事した時間を排除する趣旨で、使用者の明示・黙示の指示に従うことを要する。使用者としては、労働者が勝手に残業することを防ぐためには、残業禁止命令を指示すべきである。

 

労働時間といえるかのメルクマールは、

使用者の指揮命令(使用者によって義務づけられているか、使用者に拘束されている時間かどうか)

業務に必要かどうか

という点にある。

 

2、始業時間と就業時間

・労働時間に該当するもの

使用者に義務付けられている、始業前・終業後の作業着の着替え( 最判平成1239)、朝礼・会議・準備行為・交代引継ぎ・機械点検・整理整頓・後片付けなど

・労働時間に該当しないもの

業務性や使用者に義務付けられていない、始業前・終業後の入門退門に要する移動時間、入浴時間( 最判昭和591018

 

3、手待ち時間

休憩時間は、労働者に自由利用が保障されている。

手待ち時間は、使用者の指示があれば直ちに作業に従事しなければならないもの。

店内で休憩(昼食休憩含む)していても来客対応しなければならない場合には労働時間に該当する(労働省・厚生労働省の行政解釈)。

 

4、時間外労働

労働時間に該当するもの

・使用者の明示、黙示の指示がある場合

・労働者が規定と異なる出退勤を行って業務に従事し、使用者が異議を述べていない場合

・業務量が所定労働時間内では処理しきれないほど大量で、時間外労働が常態化している場合

労働時間に該当しないもの

・使用者の明示の残業禁止命令に違反する残業

 

5、持ち帰り残業

労働時間に該当しない。

理由

使用者の指揮監督がおよばない私生活の場である家庭で行われる。

私生活と区別して労働時間を把握することが困難

 

6、通勤時間

労働時間に該当しない。

なお、労働者災害補償保険法では、通勤中の災害を補償の対象としているが、「通勤災害」であって、労働時間中の「労働災害」と明らかに区別している。

 

7、出張中の移動時間

原則として、労働時間に該当しない(行政解釈)。

海外出張の移動時間も労働時間に該当しない。

例外として、出張の目的が運搬であり、移動中、物品の監視等をしなければならない場合には、労働時間に該当する(行政解釈)。

 

8、社内行事、研修等への参加

就業規則等の制裁による出席の強制がない場合には、労働時間に該当しない(行政解釈)。

労働時間に該当しないもの。

・運動会(最高裁判例)

・企業内サークル活動

・入社以前に行われた業務内容や就労条件の説明会や研修

労働時間に該当するもの。

・経営協議会

・参加が義務付けられている研修

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