編集著作物 - 民事事件 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
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編集著作物

 

(編集著作物)

第十二条  編集物(データベースに該当するものを除く。)でその素材の選択又は配列によって創作性を有するものは、著作物として保護する。

2   前項の規定は、同項の編集物の部分を構成する著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない。

 

 著作物 とは、思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの(著作権法2条1項1号)である。この「思想又は感情を創作的に表現したもの」とは、人間の精神的活動の成果が表れていることと解されている。

  したがって、編集著作物の創作性とは、「素材の選択又は配列に、人間の精神的活動の成果が表れていること」であると解されている。

 編集著作物の素材は、著作物に該当しないデータや事実であってもよいし、著作物(例えば、論文、小説、絵画など)であってもよい。

ただし、編集著作物の著作権は、編集著作物を構成する独立した著作物について、その著作物の著作権者の権利に影響をおよぼさない(著作権法12条2項)。

 

なお、データベースとは、「論文、数値、図形その他の情報の集合物であって、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したもの」(著作権法2条1項10号の3)をいう。したがって、編集著作物とデータベースの著作物の区別は、データベースの著作物は「情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したもの」であるのに対して、編集著作物は、そうではない点(例えば、電子計算機を利用しない紙媒体など)にある。

編集著作物の具体例として考えられるものは、小説集、論文集、辞典、用語集、情報雑誌などであるが、「その素材の選択又は配列によって創作性」があるかどうか、編集著作物に該当するかが問題となった事例が多い。ありふれた表現や事実・データを並べただけの書誌・情報雑誌・カタログなどは、編集著作物に該当しないとされた裁判例が多い。仮に編集著作物であることが肯定されても、類似したものが作成されても、侵害とならないと判断された裁判例が多い。

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