- 中村 英俊
- 株式会社第一広報パートナーズ 代表取締役 広報コンサルタント
- 東京都
- 広報コンサルタント
対象:広報・PR・IR
- 中村 英俊
- (広報コンサルタント)
- 中村 英俊
- (広報コンサルタント)
経済広報センターが行った「第11回企業広報活動に関する意識実態調査」(2012年3月発表)によると、今後、海外広報活動を重視する地域として上位に上がったのは中国(75.4%)、東南アジア(ASEAN)(66.4%)、北米(54.1%)、欧州(41.0%)の順でした。どの地域も2008年の前回調査に比べて大きくポイントを伸ばしましたが、特に中国は28ポイント、東南アジアは33ポイント増加しました。
海外広報活動に意気込みを見せる企業が増える中、残念ながら東京に駐在している海外メディアは減少の一途をたどっています。先日聞いたところによると、海外メディアで東京に拠点を置いているのは1997年には300社近くありましたが、2012年は189社。一方、北京は2004年の210社から2011年には356社に増えているといいます。
この原因として、経営環境の悪化に伴うやむを得ない措置という面はあるものの、日本が中国等に比べて相対的に関心が低くなっているという点を見逃すわけにはいきません。例えば米主要紙のワシントン・ポストはかつて、読売新聞の本社内に支局を構え、3人の特派員が常駐していましたが、現在では事務所を引き払って、1人の特派員が自宅で仕事をこなしており、日本にいながら韓国、北朝鮮もカバーしているそうです。同紙に限りませんが、先の東日本大震災でも、他国に派遣されている記者や本社からの一時的な応援で対応するケースも多かったと聞きます。
“Japan passing”とも揶揄される現在の状況ですが、海外現地での広報活動に予算や人員配置などの面で限界がある以上、日本から海外に向けた情報発信が最も現実的な活動でしょう。そのために覚えておきたいポイントは三つあると考えます。それは、「海外メディアを理解する」、「目的意識を持って信頼関係を築く」、「英語による情報開示の充実」です。
日本のメディアに対応する場合でも、そのメディアに対する理解は不可欠ですが、同様なことは海外にも当てはまります。海外メディアと一口に言っても、欧米系とアジア系でも興味や関心が異なります。大まかにいうと、欧米系は「グローバル社会における日本」、アジア系は「自国と日本の関係」という視点で取材を行っていると感じます。そこでまず「海外メディアの特徴や視点を理解する」ことが重要です。
次に「目的意識を持って信頼関係を築く」です。海外メディアというだけで必要以上に慎重になる企業が少なくないようですが、海外メディアとの交流の場を意識して作らなければ、信頼関係を築くのは困難でしょう。中国や韓国のメディアもそれぞれ10社以上が東京を拠点に取材活動を行っていますので、目的意識を持ってコミュニケーションを図ることを勧めます。
そして最後に、「英語による情報開示の充実」です。「充実」というのは、海外のステークホルダーが求める情報にどれだけ質、量ともに応えているかということだと思いますが、複数の欧米のメディアからたびたび聞かされることでもあります。これが改善されれば、「日本企業の世界市場での評価は劇的に上がるだろう」と予測するコーポレート・コミュニケーション研究の第一人者とされる米の大学教授のコメントを最近見聞きしました。
橋本拓志
広報コンサルタント
Twitter ID:@yhkHashimoto https://twitter.com/yhkHashimoto
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