- 中村 英俊
- 株式会社第一広報パートナーズ 代表取締役 広報コンサルタント
- 東京都
- 広報コンサルタント
対象:広報・PR・IR
- 中村 英俊
- (広報コンサルタント)
- 中村 英俊
- (広報コンサルタント)
広報の仕事といえば、報道対応を主とした対外コミュニケーションを真っ先に思い浮かべます。しかし、忘れてはならないのが社内広報です。ビジネスパーソンを対象にした、ある調査によると、仕事の生産性は社内コミュニケーションによって左右されると考える人は9割に上ると言います。つまり、社内のコミュニケーションを活性化しない限り、真に信頼される企業とはなりえないと言っても過言ではありません。
私が社会人になりたての頃は、上司や同僚、そして技術・製造の方々と頻繁に飲みに行く機会がありました。また、喫煙スペースでの一服も職場間の交流に一役買っていました。しかし近年、若年層を中心に飲みに行く回数が減り、ビル内を全館禁煙とするところも出てきました。こうした場が、社内コミュニケーションに寄与していた面は少なくないと思いますが、時代の趨勢を感じます。
さて、社内広報の意義や重要性は様々なところで述べられていますが、広報担当者の立場から「伝えたいポイント」を二つ挙げるなら、「企業が向かおうとしている方向性やあるべき姿」と「職場毎の活動や取り組み」ではないでしょうか。そこには、これらに対する理解や関心が広まることをきっかけとして、「社員の意識改革を促し、モチベーションを向上」させ、最終的に「企業の持続的な発展」につなげられればとの想いが込められています。「言うは易し」ですが、情報の一方通行は避けなければならないので「(社員の)関心を知る」こと、そして「メッセージをわかりやすく簡潔にする」ことが重要なのではないかと考えます。
社内広報の代表的なツールは社内報とイントラネットです。経済広報センターが企業に行った2012年の調査結果でも、この二つの媒体が他を圧倒しています。特に社内報は、インターネットが普及するはるか以前から浸透していたツールです。3年ほど前の話ですが、とある大手メーカーが、社内報を電子版に切り替えたことがありました。ところが、その会社の役員が「それではパソコンを業務であまり使用しない社員や社員の家族に読んでもらえないではないか」と異議を唱え、コストアップを承知で、紙媒体に戻したと聞きました。全く同感です。その意味で、社内広報には「経営トップの理解」が欠かせません。
イントラネットのほかにもメールマガジンやブログといったITツールを社内広報に活用する企業も増えていますが、こうしたツールばかりに頼っているのは考え物です。なぜなら、コミュニケーションとは常にフェイス・トゥ・フェイスを基本としているからです。その意味で、発信者(経営層、特にトップ)が直接、社員に対して語りかける場を設けることは、どんなツールにも勝る取組です。
コミュニケーションの難しいところは「伝えたいこと」が必ずしも「伝わること」ではないということです。以前とある会社の役員からコミュニケーションにおける「8×8=64(ハッパ64)の法則」というのを聞いたことがあります。「自分が本当に伝えたいことの8割しか伝えられない、また相手も8割程度しか自分の言ったことを理解してくれていないものだ。つまり、これを掛け合わせると結局6割程度しかお互いの意思の疎通ができていない」と。だから「『繰り返し、丁寧に、簡潔に』伝える工夫をすることが大事だ」と述べていました。
橋本拓志
広報コンサルタント
Twitter ID:@yhkHashimoto https://twitter.com/yhkHashimoto
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