第4章 裁判官はなぜ怒ったのか(10) - 刑事事件・犯罪全般 - 専門家プロファイル

羽柴 駿
番町法律事務所 
東京都
弁護士

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対象:刑事事件・犯罪

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閲覧数順 2016年12月07日更新

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第4章 裁判官はなぜ怒ったのか(10)

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(第10回)

 こうして迎えた第一回公判で私は、検察官に対し、公訴事実に関して次のような釈明を求めました。
 ダンプカーの発進時点から被害者が横断を開始するまでの時間、横断開始時の被害者と車体の間隔、その時の被害者は被告人の死角に入っていたかどうか、肉眼では見えなくともアンダーミラーなら見えたのか、被害者の走行経路はどのようなものだったのか、ガードマンらには注意義務違反はないのか、等というものでした。
 私の求釈明に対し、検察官は、釈明の必要はない、と答えました。裁判官も現在の段階では釈明の必要があるとは認められないとしました。これはこの時点では検察官も裁判官も事故の構図に対し、問題意識など持っていなかったことを示しています。
 次に、罪状認否をすることとなりました。そこで私は本件事故が、発進時における事故ではなく、走行中の自動車の直前へ、それもアンダーミラーでしか確認できない死角へ被害者が飛び出した事によって生じた事故であり、発進時点においては、被告人がいかに前方左右の安全確認義務を尽くしたとしても被害者は発見しえない位置(後方)におり、走行中被告人が一瞬アンダーミラーに写ったと思われる被害者に気づかなかったからと言って過失があるとはいえず、本件事故は不幸な偶然が重なって生じたものであり、被告人には過失が無く無罪である、と主張しました。
続いて検察官の冒頭陳述と証拠申請が行われました。この冒頭陳述でも検察官は、事故は発進時に起こったものとの主張を繰り返していました。
 それが終わると検察官は、ガードマンCさんの証人尋問を申請し、併せて被害者の母親の証人尋問も申請してきました。弁護人もCさんと現場監督Bさんの証人尋問を申請しました。裁判官は次回公判でBさんとCさんの2名を次々回に母親を、それぞれ証人尋問することを決定し第1回公判は終了しました。
                          (次回へ続く)