そこで第二弾に期待が集まりました。結果から言いますと、メディア各社の見出しがバラバラで、今回も柱と言えるものはありませんでした。民間企業の設備投資70兆円、農業所得の倍増、企業版特区、クールジャパンの発信などと、柱となる成長戦略が見当たりません。戦略においては、判りづらい見出しは成功しないと言われます。
ただ、起業に関しては、これまでにない内容が盛り込まれました。これまでわが国で起業が活発にならない理由の一つに上げられていた、金融機関が起業家に求める「個人保証」に言及しています。金融機関から借入れを行う場合は、融資額と同等かそれ以上の個人資産の担保を求められます。起業に失敗した場合は、それら全ての資産を失うことになります。
安倍首相は、「投資であふれるような日本をつくるためには、「個人保証」偏重の慣行から、脱却しなければなりません。モラルハザードは防止しなければなりませんが、個人の資産と会社の資産を区分してしっかり管理しているような真面目な経営者であれば、個人保証がなくとも融資が受けられるような、中小企業・小規模事業者向け金融の新たな枠組みをつくりたいと考えています」
今後、政府と金融機関とのやり取りの中で、どのような結果になるか予断は許しません。ただ、世界の金融市場で、金融機関の貸し手責任はまったく問わず、借り手の返済責任ばかりを求めているのは日本だけと言われます。政府が本気で、起業家や小企業経営者の個人保証を求めない政策を打ち出したら、起業しやすくなることは確かです。
【一言】
安倍首相自身が、一度は首相を続けることを断念して、政権を放り出した経験があります。一度失敗したことによって、二度目の首相の座はとても安定したものに思えます。同じことは、下野している民主党にも言えます。わが国は、一度失敗すると再度挑戦することが難しいとされます。ただ、起業でせっかく蓄えた失敗の知恵を、生かさないのは社会的な損失です。
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