MRIインターナショナル詐欺事件とカルト宗教 - 家計・ライフプラン全般 - 専門家プロファイル

真鍋 貴臣
香洋ファイナンシャル・プランニング事務所 代表者
香川県
ファイナンシャルプランナー

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閲覧数順 2024年05月08日更新

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MRIインターナショナル詐欺事件とカルト宗教

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MRIインターナショナルというアメリカの資産運用会社の詐欺事件が世間を賑わしています。

この会社は「MARS投資」と呼ばれる金融商品を販売しており、年率6%から8%という高金利を謳っておりました。

ただ実際のところ、この会社が謳っているような運用は行われておらず、全くの詐欺であった事が判明しつつあります。

今回、MRIインターナショナルが販売していた「MARS投資」は、いわゆる「オルタナティブ投資」と呼ばれる商品であります。

この手の事件が起きる度に私が感じるのは「オルタナティブ投資とカルト宗教は良く似ている」という点です。

■オルタナティブ投資が無くならないワケ

Wikipediaによるとオルタナティブ投資とは「債券や株式など伝統的投資(conventional investments)とは収益の相関性が異なる非公開株式、商品、不動産などへの投資、及びこれらに投資するファンドとくにヘッジファンドへの投資を指す。派生商品取引をも含む。」とあります。

有名どころでは「ヘッジファンド」や「証券化商品(今回のMARSもこれだと思います)」などがあり、これらは単体で売られている事もあれば、投資信託などに組み込まれている事もあります。

要は、株や債券などで充分なリターンを得ることが出来ない環境において、利益を生むために作られた金融商品の事です。

裏を返せば、このような投資が出てきた背景には、これまでずっと「株や債券などで充分なリターンを得ることが出来ない環境が続いてきた」事が挙げられます。

いわば、「正統」が満たせない隙間を「異端」が埋めようとしているのです。


■なぜカルト宗教とオルタナティブ投資は似ているのか?

カルト宗教は、その教義に至る人間分析や世情分析に関しては、意外と正統的であったりします。

ただ、その正統的な分析を重ねた結果であるはずの「教義」が、首をかしげるものだったりするわけです。

こういった、「一見正統だけれど何かおかしい」という感覚こそが、オルタナティブ投資とカルト宗教が似ていると感じた所以です。

例えば今、社会的な事情を反映し「自分年金」を作ろうという動きが活発です。

「自分年金」に必要な額を試算すると、例えば月に5万円程度を20年間積み立てながら、年率5%程度のリスク・リターンで運用しないといけないとします。

そうなってくると、5%程度のリスク・リターンのポートフォリオを考えて、商品を買わないといけません。

ちなみに、ここまでは非常に正統的であり、後はポートフォリオの中身をどうするか…という話になるのですが、オルタナティブ投資に走る人は「株や投資信託でポートフォリオを組もう」とは考えず「安定利回り6%~8%のMARS投資を買おう」に走ってしまうのです。

冷静に考えれば、長期金利が0%に近い状況下で「6%~8%の安定利回り」という宣伝自体に首をかしげるものですが、「政治家や芸能人もやっている」とか「損が出ない仕組みになっている」とか「実は裏で〇〇な事が動いている」といった、本来の金融商品とは何の関係もない「思惑」ばかりに目が行き、信じてしまうのです。

その姿は、陰謀論を振り回す教祖に心酔するカルト信者の姿に非常に似ていると思うのです。


■金融カルトに惑わされないために

本来、オルタナティブ投資は機関投資家のためのものでした。

それは、一般的にオルタナティブ投資は「難解」で「透明性が低い」ものが多く、プロが自己責任で買うようなものであったからです。

しかし、いまや金融商品は多様化し、何も知らない一般人が「安定好利回り」という文言を信じこんで、インターネットなどを通じて簡単に買う事ができてしまいます。

当然、オルタナティブ投資にもいろいろなものがありますので、一概に「辞めた方が良い」というつもりは全くありませんが、少なくともどのような商品で、何に対して投資していて、どのような仕組みで利益が出て、資産の管理がどうなっていて、どのように手数料が取られていて、金融庁や監査法人の監査が定期的に行われていて、万一ダメになった場合、自分にはどんな影響があって、etc…という事は押さえておいて取り組まれた方がいいと思います。

カルト宗教の多くが、正統的宗教からの派生で生まれているように、オルタナティブ投資も伝統的投資の影として生まれているものです。

この先、カルト宗教もオルタナティブ投資も、増える事はあれど減る事はないでしょう。

これらに惑わされないためには自分の考えをしっかり持ち、自己研鑽し、信頼できるプロと二人三脚を組むしかありません。

今回の事件が、そのキッカケの一つになって欲しいと思います。

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