著作権って - イラスト・グラフィック全般 - 専門家プロファイル

宇田川 ひとみ
ヒトミ・キュービック・デザイン 
長野県
グラフィックデザイナー

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対象:イラスト・グラフィック

古庄 伸吾
古庄 伸吾
(グラフィックデザイナー)
すずき かずたか
(絵本作家・絵本作成出版代行者)

閲覧数順 2024年09月22日更新

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先日、青森ねぶた祭りのねぶたの写真の一部を無断で広告として加工し、雑誌に掲載した業者の代表に、青森地裁から著作権侵害であると700万円の損害賠償を命ずる判決を下されました。

判決によると、被告は、ねぶたの写真を購入し、店名を書き加え、更には出資企業名を店のホームページアドレスに書き換えて、ファッション雑誌雑誌に広告を掲載したとのこと。

その代表者は、「写真を購入したサイトには、広告作成のための加工も可能と記されていた」とし、著作権侵害の認識はなかったと主張していました。

ニュースによると、 

『青森地裁の浦野真美子裁判長は、ねぶたが「思想または感情を創作的に表現した美術で、著作権法上の著作物にあたる」と判断。「著作者の意思に反して、ねぶたの複製物である写真に改変を加える行為は、著作権や著作者人格権の侵害にあたる」として、請求通りの損害賠償を命じた。』

購入し、しかも広告作成もOKの写真なのに、なぜ著作権にひっかかったのか。

この著作権については、デザイン制作を生業にされている方や、デザイン制作を依頼される方は知っておくべき知識だと思います。

著作権というのは、製作者が作成した時点で、製作者に派生します。
依頼者に納品する際に、暗黙のうちに著作権は移行していると思っていませんか?

その移行する著作権(「「著作財産権」といいます)には、以下の権利があります。
 1.複製権   印刷・複写・写真・録音等で複製する権利
 2.上演権
 3.演奏権
 4.上映権
 5.公衆送信権 TV・ラジオ・ネット等に送信する権利
 6.伝達権   公衆送信される著作物を受信装置を用いて伝達する権利
 7.口述権   朗読等
 8.展示権   美術品等の原作品を展示する権利
 9.頒布権   映画の複製物を譲渡・貸与する権利
10.譲渡権   映画以外の著作物を譲渡する権利
11.貸与権   映画以外の著作物を貸与する権利

これらの他に依頼者に移行する可能性のある権利として
・翻訳権
・二次的著作物の利用権
があります。

小説が映画化されたり、英語本が日本語に翻訳されたりといった場合、必ず契約で確認しなければいけない重要な権利ですね。

そしてここからが今回の項目。
著作権には上記した「著作財産権」のほかにもうひとつ、「著作人格権」があります。

この「著作人格権」は、作成者の一身に専属し、譲渡できない権利なんです。

1.公表権     未だ公表されていないものを公表するかどうかを決定する権利
2.氏名表示権  氏名(実名・芸名)を著作物に表示するかと決定する権利
3.同一性保持権 著作物の内容を改変されない権利

製作者が「著作人格権を行使しません」と契約書に記載しない限り、著作物購入者は
勝手に改変した際には、訴えられても仕方ないのです。

今回の場合、上記の契約書を交わさないまま写真販売サイトに問題の写真は掲載されていたのでしょう。

こういったことを考えると、しっかりと契約書を交わすこと、双方が納得した上で、プロジェクトを開始し、完了することが重要であることがわかります。

 

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