対象:刑事事件・犯罪
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自転車等の一時使用と犯罪の成否(使用窃盗)について
「使用窃盗」とは,「他人の物を無断で一時的に使用すること」をいいます。
窃盗罪(刑法235条)というのは,他人の物を「領得する(自分のものとして奪う)」犯罪とされています。
そのため,元に戻す意思で「他人の物を無断で一時的に使用する」ようないわゆる「使用窃盗」の場合は,他人の物を「領得する(自分のものにする)という意思(これを不法領得の意思といいます。)がないため,不可罰であるとされています。
ご相談のケースも,自転車を元に戻す意思で極く短時間使用したような場合は,「使用窃盗」として罪とならない可能性があります。
どういう場合に「使用窃盗」として不可罰となり,また,どのような場合に窃盗罪として処罰されるかは,基本的に,「不法に領得する意思」(不法領得の意思,平たく言えば「自分のものとして振る舞う意思」)があったか否かによって,判断されることになります。
ただ,具体的にどういう場合に,「不法領得の意思」があったといえるかについては,なかなか判断が難しいところがあります。
自転車等の一時使用のケースでは,判例も ? 不可罰としたもの ? 窃盗罪の成立を認めたもの とがあり,その限界線はかなり微妙なのですが,概ね以下のような基準で判断することになると思います。
補足
? 自転車等を最初から元に戻す意思がない場合
自転車等に乗った後乗り捨てるなど自転車等を元に戻す意思がなかった場合は,「使用窃盗」とは言えず,「窃盗罪が成立」すると思います。
? 自転車等を元に戻す意思がある場合
この場合,「乗り回した時間の長さ」「その間本来の持ち主の使用がどの程度妨害されたか」,「乗り回された物の価値」等によって,「使用窃盗」か「窃盗罪」かが決まると考えられます。
ご参考までに,判例上,不可罰的な使用窃盗とされたケースと窃盗罪の成立が認められたケースの具体例を挙げてみると以下のようになります。
不可罰(使用窃盗)とされたケース
A 京都地判昭和51年12月17日・判タ354号339頁
2〜3時間後に返還する意思で自転車を無断使用した事例
窃盗罪の成立が認められたケース
A 最決昭和55年10月30・判タ427号83頁
自動車(この場合自転車ではなく自動車)を約4時間乗り回して無免許運転で検挙された事例
B 札幌高判昭和51年10月12日・判時861号129頁
他人の自動車を約4時間乗り回した上事故を起こしたケース
ご相談ケースの場合,不可罰とされた京都地判のケースにかなり近いケースであるため,警察官も「使用窃盗」となる可能性があると話されたのではないか,と思います。
ただ,窃盗罪が成立しないとしても,まさに犯罪と紙一重の行為であり(京都地裁以外の裁判所が判断していれば逆の結論になった可能性もあると思います。),また,このような行為が許されて良いわけもありません。
このような行為は,やってはいけないことであると教育すべきであると思います。
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