対象:人事労務・組織
本田 和盛
経営コンサルタント
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HIV感染者の採用
凄腕社労士 本田和盛です。
採用時の個人情報の扱いについては、社会的差別の原因となるおそれのある個人情報などの収集は原則として認められません。
具体的には、下記の情報は本人同意や正当理由がないと徴収できません。
イ 人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項
ロ 思想及び信条
ハ 労働組合への加入状況
(職安法5条の4,平成11年労働省告示第141号)
採用時に健康状態を確認することは可能ですが、病歴は機微情報ですので、原則本人からは聞けません。雇い入れに際して実施する健康診断も法定項目以外の実施は困難です。HIVの感染検査についてもプライバシーの侵害となり認められません(警察学校HIV事件他)。しかし本人から現状の疾患について申告があった場合は、企業にも採用の自由があり、採用を拒むことは可能です。ただし企業の社会的責任(CSR)が求められている昨今、合理性の無い安易な採用拒否は自重すべきでしょう。
かりにHIV感染者を採用した場合の企業の責任ですが、労働安全衛生法(61条)では、「病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾病にかかつた者」は就業を禁止しなければならないと定めています。ただし伝染予防の措置をした場合は禁止する必要はありません。就業禁止は出勤停止等のことであり、解雇することではありません。また就業禁止する前に事前に産業医の意見を聞かなければなりません。
相談者の場合は、労働者の同意を得てあらかじめ産業医(もしくは主治医)と面談し、就労に差し支えないか、就労で配慮すべきことは何かを聞き、それにそった対応をされればよろしいと思います。そうすればHIV感染が広がらないように企業として注意義務を果たしたということで、損害賠償等の不法行為責任を免れることは十分に可能と思います。
(現在のポイント:-pt)
この回答の相談
HIV等の感染者の採用に絡む件で、いくつかお聞きしたいことがあります。
労務士に確認をしたところ、そうした病気を理由に断ることは偏見になるのでできないと言われました。また、もし入社した… [続きを読む]
soumuさん (沖縄県/29歳/女性)
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