二匹目の犬

よく起こるトラブルです。2匹いたほうが喜ぶと思うのは人間で、犬にとっては必ずしそうではなく、もともと居たワンちゃんにとって、とんでもなく迷惑ということも多数あります。例えばあとからきたワンちゃんが、離乳前で、とても歩くのもおぼつかないという場合などは、わりと受け入れてもらい易いのですが、離乳も済んで、しっかりしている場合には時間がかかるほうが多いと思って下さい。ベストの方法かどうかは判りませんが、当院でお勧めしているのは、まず新しいワンちゃんの行動範囲を制限して(例えばゲージの中)、もともと居たワンちゃんが、新しいワンちゃんに接触することなく、自由に近づいて観察できるようにしてやります。そしてもと居たワンちゃんの様子を見ながら、少しずつ新しいワンちゃんの行動範囲を広げていきます。こうして、約一週間掛けて見慣れてもらいます。この間に、もと居たワンちゃんに『新しい犬は自分に危害を加えない』という気持ちを持ってもらうことが大事です。それから、徐々に接触を増やしていきます。この方法で、これまで高い確率で、同居が可能になっていますが、とても仲良くなるケース、喧嘩にはならないけれどというケース、お互い無視のケース、もと居たワンちゃんがすーっと逃げるケースなどいろいろなパターンが出てきます。仲のあまよくなかった2匹が、ホテルに預けられて同じゲージで数日過ごして、家に帰ってきたら仲良くなっていたということも、たびたび経験しています。しかしながら、もと居たワンちゃんの許容性が低く、精神的に落ち込み、食欲不振、チック症状、嘔吐、出血性腸炎などの症状を起こしてしまい、新しいワンちゃんを里子に出さざる得なくなったケースも幾つか経験しています。いずれにしろ、まず、もと居たワンちゃんの立場を重視してやる事が大事です。