- 杉田 昌穂
- 青穂塾 塾長
- 大阪府
- 塾講師
対象:子供の教育・受験
高校の同級生におもしろい男がいました。いつも口を半開きにしてボーとした顔で歩いている。したがってときどきよだれを垂らしている。制服のシャツがズボンからはみ出して後ろに垂れているのは日常茶飯事で、だれが見てもまともな高校生に見えません。
この男があるとき、「ギリシャ古典を読んでみろ。絶対おもしろい。」と言いだしました。そこで岩波文庫のアリストファネス「女の議会」「雲」・・・プラトンの「ソクラテスの弁明」「饗宴」・・・などを読んでみると確かにおもしろい。プラトンなどは名前を見ただけで堅苦しそうでしたが、読んでみると知的なおもしろさだけでなく、世俗的なおもしろさも含んでいて、けっこう夢中になりました。このあたりの影響で、絶対受験にでないような読書をたくさんしてしまいました。
その結果か、単に私の能力不足からか、第一志望校は落ちてしまいました・・・
でもこのとき読んだ書物はいい意味で今の私の仕事に大きく影響を与えていると思っています。(営業面では悪影響を与えているような気もしますが)
私はこのコラムを書くに当たり、この同級生の消息が気になりました。卒業以来、同窓会に出たことはありませんし、名前さえ忘れていました。そこで「もしや」と思って、卒業アルバムを引っ張り出し、インターネットの検索サイトに名前を打ち込んでみました。
すると・・・ヒットしました。風変わりな氏名をお持ちの方なので、同姓同名ということはないでしょう。まず間違いありません。「ギリシャ古典を読んでみろ。絶対おもしろい。」という記憶から、てっきり文系だと思っていましたが、今は化学関係の研究者として活躍しておられるようです。私に哲学への興味を持たせた人間が、理系の分野で活躍しているのは、うれしい発見でした。
最近のエリート、特に理系のエリートは、学問全体の基礎である哲学に触れたことがないのではないか、「智」とは何か、考えたこともないのではないか、と感じることがあります。(私自身、哲学については基本中の基本程度の知識しかないので、偉そうなことをいえる立場でもないのですが・・・)時々、理系のエリートに「文系の勉強は暗記だけで済みますよね。」と言われたりとかして、絶句することがあります。
したがって私は、高校卒業まで在塾する生徒には必ず古典哲学の本を1冊は読ませるようにしています。学問の基礎だからです。「先取り学習」「受験のためだけの勉強」で、視野の狭い人間にはなってほしくはないからです。
「教科書に出ないような勉強」「受験に出ないような勉強」は遠回りですが、ぜひ若者たちにやってほしいと思います。
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