- 坂田 岳史
- 有限会社ダイコンサルティング 代表取締役 IT経営コンサルタント
- ITコンサルタント
対象:ITコンサルティング
経営者が考えるIT活用がIT経営だ!
前回のコラムで、IT経営とは「経営者が自ら考え実行するIT活用」と申し上げました。
これは、経営者が考えると、業務に特化したものでなく、会社全体を改革・改善する視点で考えることができるからです。
言いかえれば、IT活用以前に会社としての問題点、課題をしっかりと抽出して、それを解決する活動を行うことが先決です。そして、その活動を支援するためのITを企画するというプロセスが重要になります。
IT経営の事例で考えよう
例えば、次のような事例があります。
A社(小売業:従業員10名:店1、倉庫2)では従来、発注した商品が入荷された場合、担当者によって保管場所がバラバラでした。
(Bさんは、A倉庫に入れるがBさんは店の空スペースに置いているなど)
そのため、現在の正確な在庫数が分からず、在庫があるのに発注したり、あると思っていた商品が無かったなどの問題がありました。
そこで、的確な在庫管理を行うことにしました。この場合、まずは商品在庫の保管場所を決め入庫と出庫のルールを決める必要があります。
そして、その入出庫情報を在庫管理システムに入力し、システムで在庫管理を行うことにより商品ごとの現在の在庫数や在庫場所が把握でき、機会損失が低減できます。
さらに適正発注量を決めることにより、最低限の在庫を持つことができ、在庫費用も低減できます。
これらのことを実行するためには、当然ながらシステムを入れる前提として、在庫場所の特定、入出庫のやり方(ルール)の決定とその実施が必要になります。
このようなことを担当者が一人で考え、実行できればいいでしょうが、現実的にはそううまくはいきません。しかし、経営者が問題意識を持ち、自ら(或いは担当者に的確に指示をする)が実行することにより、在庫管理という全社的な改善ができるはずです。
これ自体が、IT経営と言ってもいいのです。
このような改善活動とそれを実現するためのIT活用は、立派なIT経営だと言えます。
IT経営には情報量によりベルがある
一方で、このIT活用では、IT経営力大賞を受賞するには至らないでしょう。
もとろん、賞を取るためにIT活用を行うわけではありませんので、受賞できなかったと言ってがっかりすることはありません。
ここで私が申し上げたいことは、IT経営には、企業の課題解決の大きさとその効果によりレベルがあるということです。
A社の場合、店舗が1つで倉庫が2か所、従業員も10名程度ですので、先の在庫管理を的確化するだけでも十分な効果があるのです。もしA社が将来的に店舗が20店舗以上になれば、ネットワークをを使った複数店舗間での在庫管理の実施など、今よりも高度なIT活用になるでしょう。
ITはあくまで情報を管理したり、活用するためのツールです。情報量が多ければ高度なITになりますが、情報量が少ないと、高度なITを活用しなくても十分効果が出ます。
IT経営力大賞で賞をとる企業は、ある程度情報量が多く高度なIT活用をしているケースがあります。
A社の社長さんも「うちのITぐらいじゃ、賞はとれないね」と言われました。
確かに賞を取るのは難しいかもしれませんが、現在のIT活用はA社においては最善であり、これも立派なIT経営なのです。
何度も言いますが、IT経営は「経営者が会社を鳥瞰し、自社の問題・課題を解決するためにIT活用を行う」ことなのです。高度なITを活用しなくても立派なIT経営をされている会社は数多くあるのです。
第3回 IT経営成功の秘訣!
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有限会社ダイコンサルティング
中小企業診断士
ITコーディネータ・ITCインストラクタ
坂田岳史(近畿経済産業局認定 ベストITサポータ)
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私の理念
「一期一会」その瞬間を大切にします。