- 阿妻 靖史
- パーソナルコーチ
対象:コーチング
マリッジブルーの原因と解消法の第二回目です。今回は、男性の側にマリッジブルーらしき症状が現れている場合について書きます。
最近は、女性の方が主導権を握っているカップルも増えていますから、そのような場合、男性側には激しい葛藤があるはずです。男性は結婚によって自分の自由が奪われるという感覚があると、非常に息苦しく思うものです。もしも、彼がマリッジブルーになっているとしたら、これまでの交際を通じて、あなた(女性)の側の主張ばかり通っていなかったか、少し考えてみてください。人は誰でも、自分の自由意思を持っているものです。たとえ表面的には他人に合わせる人でも。相手が大人しければ大人しいほど、よく気遣ってあげる必要があります(だから私は、ものをハッキリ言う人の方が結婚相手としては楽だと思っています)。
もしも、あなた(女性)がマリッジブルーになるのではなく、彼がマリッジブルーになってしまっているのだとしたら、結婚後も彼にお金、時間、行動の自由があることを、よく説明してあげてください。生活を営む上で必要なことはもちろんありますが、その場合でも主導権争いをせず、お互いに腹を割って恥ずかしいことも、言いにくいことも、相手を責めずに伝えあえる関係を作れば大丈夫。たとえ現実的な制約からの不自由さ(たとえば子供が生まれたら時間もお金もかかる)はあっても、相手に支配されるような息苦しさはないはずです(大抵、こっちの方が重要ですから)。もちろん、あなたが色々制限をつけて束縛するつもりだったとしたら、問題外ですが。
最後に、今の日本には、そういう習慣はありませんが、せっかくマリッジブルーで心の毒が出てきているのだから、結婚前のブライダルエステならぬ、心のブライダルエステをすればいいのに、と、セラピストの視点から見ると思います。
価値観も習慣も違う相手と共同生活するわけですから、自分と違う部分をたくさん発見することになります。たとえば、お金は天下の回りものと考え、他人のためにもドンドン使う人と、節約命の人が結婚したら、お互い激しくストレスが溜まることは目に見えています。
そんな時に、お互いに「共感の質問」をもって、理解し合えば、本当は人生の幅がぐっと広がるのです。共感の質問とは「この人は何が苦しくて、その行動を取るのだろう?」と自問することです。
たとえば、「お金は天下の回りもの」と言っていた側が、本当は寂しがり屋で、人を引きつけるためにはついついお金をたくさん使ってしまうという苦しさを抱えているかもしれないし、節約命の側が、小さい頃貧乏して、お金のない苦しさを誰よりも分かっているから、もうそういう生活に戻らないよう、必死で努力しているのかもしれません。
今のは一例ですが、価値観が食い違ったときに、自分の正しさを主張するのではなく、相手の苦しさを思いやることができれば、自分の経験から得た狭い価値観へのしがみつきを手放し、考え方を広げることもできます。そしてお互いに本当の意味で信頼しあえる最強のチームメイトになれるのです。
共感の質問は、マリッジブルーのまっただ中にいる状態で、カップルの二人だけで行うのはひょっとして難しいかもしれません。恋愛セラピストとしては、ブライダルエステのような感覚で、心のブライダルエステとして、マリッジブルーの段階のカップルが、気軽に恋愛カウンセリングを利用するようになったらその後の夫婦喧嘩も減るだろうし、いいだろうな、と思っています。
最後の最後に、マリッジブルーが重症だと感じるあなたに。ひょっとするとあなたは、ご両親の結婚生活に悪印象を持っていませんか? このような場合、親からうまく行く結婚生活のあり方を学ぶチャンスがなかったわけです。そのまま行ったら、やはりうまく行かないかもしれません。コラム父親との関係が恋愛に影響するや愛と依存心と罪悪感をお読みになると、何かヒントが得られるかもしれません。
パートナーに対する接し方や、自分の心のあり方について、こうしたらダメ、こうしたらうまく行く、ということを十分に学び直し、結婚生活をうまく営む自信をつける必要があるかもしれませんね。