今日は午後より施主と共に、建築家の藤森照信氏来社。
今回は個人邸の窓。
施主のK氏は、藤森氏に設計を頼むだけあって、松本工房の雰囲気に興味を示し、ひとうひとつに深く頷きながら、説明に耳を傾けておられた。
年に何度か訪れる、施主と製作者の感性が交わる瞬間。
藤森氏のステンドグラスは、いつも透明ガラス+格子。
一見、単純で目に留まらないステンドグラス。
しかしその中身は、気泡、筋の入ったフランス製の手吹き(ハンドメイド)透明ガラス。
ガラスの単価としては、高価なランクに入る。
しかも松本を指定しての製作。
日本人の持つ赤、青、黄色のイメージを覆し、ステンドグラスっぽく見えないところに、こだわりを見せる。
素朴なデザインに、最高級な材料に、最高級な技術。そしてステンドグラスに見えないし、目立たない。なんて贅沢なステンドグラスの使い方だろう、と私は思う。
こんな使い方を知っている、豊かな感性を持った建築家は、そう多くない。
そしてこのステンドグラスの存在感は、この単純な格子窓が、知らないうちに藤森建築の特徴的な意匠の一部を担っているということ。
藤森建築を訪れたら、窓を見て「これがステンドグラスなんだ」と思ってガラス越しに風景を見て欲しい。
きっと何か違うものが見えてくるに違いない。