【法律事務所のコラム:相続の身近なお悩み】第1回

-

公開日時
2011/07/12 09:45

相続のお悩みというのは、意図せずやってくるものです。

身近な相続の悩みに関連する法律知識を紹介したり、トラブル回避の方法についてご紹介するコラムを始めます。

第1回は、「子供がいない夫婦の相続と遺言」をテーマにします。

 

以下のような例で考えてみましょう。

夫Aさん(75歳)、妻Bさん(67歳)。

2人は結婚して40年になる夫婦ですが、子供はいません。

20年前に買ったAさん名義のマンションに2人で仲良く暮らしていました。

 

ある日突然Aさんが亡くなりました。

Aさんが遺した財産はAさん名義のマンションと預金です。

Bさんはそのままマンションに住んで、預金と年金で安泰な余生を送ることができると思っていました。

 

ところがです。Aさんの両親はすでに亡くなっていますが、Aさんには弟Cさんがいました。

この場合、Aさんの相続人は、妻のBさんと弟のCさんになります。弟さんも相続人なのですね。

 

相続分はというと、Aさんが遺した財産につき

Bさんの相続分は4分の3

Cさんの相続分は4分の1

になります。

 

つまり、妻のBさんが全財産を相続することはできないのです。

 

Cさんは、最近商売に失敗していて財産を失っており、お嫁さんが特にこの相続に目をつけて、

自分もマンションに住みたいと言ったり、家賃をよこせと言ったり、

はたまた、自分のマンションの持分を買い取れと言ったり…。

Bさんは困ってしまいました。

 

これはお子さんがいない夫婦の場合に、どこにでも起こり得ることです。

 

どうしたらよかったのか?

Aさんが「妻のBさんに全財産を相続させる」という遺言をしてくれていたら、Bさんが全財産を取得できたのに…。

 

このように、子供がいない夫婦の場合、遺言がとても大切になってきます

 遺言は「老いた妻(夫)への感謝状」と言われます。

自分の死後の妻(夫)の生活を守るため、感謝の気持ちをこめて、遺言を作成しておきましょう。

 

次回は内縁の妻と相続の問題です!!

このコラムの執筆専門家

松野 絵里子(弁護士)

東京ジェイ法律事務所 弁護士

高品質で身近なサービス

身近で高品質なリーガルサービスを目指して自分の事務所を運営している弁護士です。個人的には、企業法務の日本における浸透(リーガルリスクはビジネスリスクであることの認識)を中小規模の企業にも促進したいと思っています。

松野 絵里子
相続紛争について分からなくなったら「相続 専門家プロファイル」へご相談ください。
最適な相続の専門家を無料でご紹介いたします。 相談内容を入力する

※専門家の紹介、また、専門家からの提案・見積りは、無料でお使いいただけます。実際にお仕事を発注する段階で金額などは専門家と個別にご相談ください。