小笠原 隆夫(経営コンサルタント)- Q&A回答「両社間及び従業員の間でどんな合意となっているのか」 - 専門家プロファイル

小笠原 隆夫
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小笠原 隆夫

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( 東京都 / 経営コンサルタント )
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グループ企業への転属で退職金は出ますか?

キャリア・仕事 労働問題・仕事の法律 2009/03/09 12:25

会社が吸収合併されることになりました。
そのため、社員は吸収合併後の新会社に転籍する者、グループ企業への転籍となる者、退職となる者に分かれました。

退職(要はリストラ)となる者は退職金が支給されますが、吸収合併後の会社に配属される者、グループ企業へ転籍する者は退職金は支給されるのでしょうか。

というのも、転籍先の会社では退職金制度がありません。
私自身が住宅ローンを抱えており、年収も高いとはいえません。退職金制度を設けている事が就職先の一因でもあったため、とても悩んでいます。

転籍するにあたって、色々な条件も変わってきますし、注意したほうがいいことがありましたら、教えていただけないでしょうか。
よろしくお願いします。

補足

2009/03/09 12:25

わかりやすい説明をありがとうございます。

お教えいただいたことを念頭に置き会社側と交渉した結果、退職金が支給されることになりました。しかし積立金の関係で「自己都合で退職」した分の退職金しか払えないとの事でした。
そもそも、会社都合で社員を退職させることは考えていなかったので、そこまでの積み立てはしていないというのです。

積立金をゼロにするために、転籍・合併先へ行く社員には自己都合の分しか支給しないと会社側は主張します。(それでも、リストラとなった社員には会社都合で支払うわけですから、結果として損失が出ると思いますが・・・・)


会社が存続していれば長く勤めるつもりだっただけに、納得できません。
退職金の支給額は、自己都合と会社都合では2倍近くも差があります。

こういったことも会社と社員の交渉しだいでどうにかなるものなのでしょうか。
しつこいようでお恥ずかしい限りですが、よろしくご享受ください。

kittyomuさん ( 神奈川県 / 女性 / 37歳 )

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両社間及び従業員の間でどんな合意となっているのか

2009/03/10 15:19
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 合併の場合は、包括承継といって全ての権利義務関係が合併前の状態で新会社に当然に承継されることとなっています。消滅会社の従業員も新会社に当然に承継されることになり、労働契約関係も新会社にそのまま移転することになります。労働契約は存続するため退職したことにはなりません。

 ですから、通常であれば吸収合併で移った新会社に退職金などの労働条件もそのまま引き継がれることになり、退職金についても合併時点で請求権が生じることはありません。
 ただ、新会社には退職金制度がないとのことなので、このあたりは両社間、及び従業員との間でどのような合意となっているかによります。一般的には合併時点で会社都合退職の扱いで退職金を精算する、または新会社で新たな制度を作って退職金資産を移行するなど、何らかの移行措置、代替措置をとることが多いと思います。

 合併によって統一が図られ、退職金などの労働条件が変更されて不利益が生じる場合は、従業員の合意や変更についての合理性が求められることになります。(合併という事情の場合、統一の必要性や合理性は比較的広く認められるようです。)
 転籍にあたっては、上記以外にも就業時間、給与、休日休暇といった重要な労働条件がありますので、このあたりがどう変更されるのかを十分に確認し、おかしいと思う点にはしっかり声を上げていくことが必要であると思います。

補足

 追記された部分も拝見しました。

 やはり不利益変更に対する代替措置として、話し合うしかないと思います。どんな退職金制度だったのか分かりませんが、例えば今でも適格年金だったのであれば、解約時の資産を一定基準で対象者に分配することになり、積立額によっては退職金として規定された金額には届かない事があり得ます。
 もう一点、制度の移行方法によっても変わってきますが、制度廃止による解約払戻金は退職所得にならず、一時所得として課税される可能性があります。(各自が確定申告をして、追加で所得税を納めなければなりません。)

 代替措置として解約払戻金の積み増し、合併後の給与上乗せ、その他条件を総合して要求することになると思います。会社側としても従業員の個別同意が必要になりますし、強引に一方的に進めることはできません。転籍される社員同士でよく連携して行動されることが良いと思います。

評価・お礼

kittyomu さん

細々とした質問を丁寧にお答えいただきありがとうございました。
状況を踏まえた上で同じ立場の社員同士で話し合い、最終的な話し合いを持ちたいと思います。

先生のお話とお言葉に、とても励まされました。
本当にありがとうございました。

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