森本 直人
モリモト ナオトグループ
現金のバブルはいつまで続くのか
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今月5日に日銀が「包括緩和」という金融緩和策を
打ち出しました。
その中でも特に注目されたのが、
株価指数連動型の上場投資信託(ETF)や
不動産投資信託(J-REIT)を日銀が基金を設けて
買い入れるという項目です。
この発表は、金融関係の専門家の方々には
驚きを持って受け止められたようです。
その発表の瞬間に日経平均株価も急上昇しました。
ただ、今のところ円高傾向は、止まっていません。
これは、米国が日本と同様に金融緩和をする
予測があることもありますが、それでもなお
円の信用が高いと見られているからだと思います。
というのも、日本はデフレですから、
ある意味、現金(円)の価値がどんどん上昇しています。
実際、安い物に人々が殺到するような状況です。
平均給与は、大きく下がっていますし
お金を貯めなきゃとみんな思っています。
通常は、金利を低く誘導することで、お金を借りて、
事業や資産に投資をする人が増えるはずなのですが、
それでも、日本では、多くの人が現金に一番価値がある
と考え、デフレが止まらないため、
日銀が自ら投資に動いたといえそうです。
仮にもし今後日銀がルールを変えて、
ETFやJ-REITなどを大量に買い続けていけば、
手品のようなお話ですが、株式や不動産の価格は
上昇していくでしょう。
ただ、この場合、相対的に現金の価値は下がっていく
ことになります。
日本でもバブル当時は、「土地神話」といって
永遠に地価は下がらないと思われていました。
そのため誰もがこぞって不動産を買いました。
今は、それとは違って「現金神話」です。
現金の価値は絶対に下がらないと思われています。
資産のバブルが止まらなかった時期は、
日銀が金融を引き締めるため大幅に金利を上げて、
その後に資産バブル崩壊という流れでしたから
次は、大胆な金融緩和策の導入が、現金のバブルを
はじけさせるきっかけになるかもしれません。
ちなみに、現金のバブルがはじけるとは、
具体的には、突然物価が上昇し始めることです。
いつ頃どんなきっかけで、そうなるのかは分かりません。
もちろん、何年もこのままの状態が続くかもしれません。
ただ、今回の金融緩和策が大きな潮目の変化につながる
可能性をもっていることは、確かなようです。
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